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画像生成AI『Beyond Perception Model』はライゾマの純粋培養
デジタルアートと一口に言っても色々あるが、今回スポットが当たっているのは「AIによる生成画像」の進化、そしてその「限界?」とでもいうべきものだ。まずは前提として、会場の端に展示されている、ライゾマティクスが世に送り出した画像生成AI『Beyond Perception Model(ビヨンドパーセプションモデル)』について知っておこう。

先行している天王洲の展覧会で発表されたこのAIは、ライゾマティクスが持っているデータだけを学習させた「純粋培養」のAIである。ライゾマ農場の牧草だけを食べて育った、いわば生産者の顔が見えるAIだ。それの何がすごいかというと、まず著作権侵害の心配がない。倫理的に偏った画像が生成されることもない。その上で、このAIを搭載したブラックキューブ型PC、モニターは550万円で販売されているのである。購入者はAI生成画像についてまわる諸問題を飛び越え、ライゾマ節のきいたデジタルアートを生成したい放題。しかも商業利用もOKなのだそうだ。素朴に「え、いいの……?」とたじろいでしまう。そこは最も守るべき、秘伝のスープなのではないのか。