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平成初期の日本美術を振り返る。村上隆や奈良美智ら50組以上集結の展示をレポート

2025.9.19

#ART

『時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010』国立新美術館2025年展示風景
『時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010』国立新美術館2025年展示風景

アイデンティティやジェンダーを問い直す 2章「自己と他者と」

2章「自己と他者と」では、アイデンティティやジェンダーを問いかける作品が集結している。当時は女性の写真家が多く台頭したものの、一人前のアーティストとして見なされることは少なかった。ここでは女性作家たちが創作を通して戦った軌跡を見出すことができる。

イ・ブル『無題(渇望 赤)』(1998 / 2011年)リウム美術館蔵 / 『時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010』国立新美術館2025年展示風景

長島有里枝や笠原恵実子、森万里子やイ・ブルらの鮮烈な作品の中でも、西山美なコの巨大なインスタレーション『ザ・ピんくはうす』は特に存在感を示していた。少女漫画の登場人物、若しくは人形の部屋を等身大のサイズにしたようなインスタレーションで、女性らしさと卑猥さを象徴してきたピンクを使い、ジェンダーの問題を強く意識させる。また、中学生の女子バスケットボールチームの練習風景を端正に捉えたシャロン・ロックハートの映像作品『Goshogaoka』に漂う繊細な空気も記憶に残った。

西山美なコ『ザ・ピんくはうす』 1991/2006年  金沢21世紀美術館蔵 / 『時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010』国立新美術館2025年展示風景
シャロン・ロックハート『Goshogaoka』1997年 作家蔵 / 『時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010』国立新美術館2025年展示風景

続くスペースでは、名画を引用して制作を行う福田美蘭、西洋美術史を参照して固定観念を揺るがす森村泰昌、日本文化を背景とした映像・写真を制作するマシュー・バーニーらの作品を展示。自身がアイデンティティを置く場所と外の世界との違いを意識し、独自の問題意識や距離感をもって創作を行うアーティストたちの作品が展開される。

左:森村泰昌『ボデゴン・鳥』(1992年)作家蔵 / 右:森村泰昌『ボデゴン・壺』(1992年)作家蔵 / 『時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010』国立新美術館2025年展示風景

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