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そして、全ての始まりである尾田栄一郎のデスクへ

制作工程はいよいよ工場や出版社を出て、作家の手元にまで遡る。ここでは第1000話の原画、およびネームをじっくりと堪能することができる。やっぱり手書きの原稿はその向こうにいる描き手の人間を強く意識させる。この密度のものが毎週生み出されていると考えるだけで、鼻血が出そうである。

ネームと原画をじっくり見比べてみると、その間に細部の表現が変更された箇所を見つけることができて面白い。

最後の宝箱は、全ての始まりである作者・尾田栄一郎のデスクの写真と、愛用品と同じ「B」の鉛筆、真っ白な画用紙で締めくくられる。途方もない創造を「The Wall」でなぞりながらたどり着いたデスクは、とても静かで、どこか神聖さすら感じさせる。人間の想像力はこれだけのことができる、と語りかけられているようにも思えて、ただじっと見入ってしまう展示だった。