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にしなはなぜ、「正解のなさ」を受け入れられるようになった?
―歌詞の落としどころの話や、「はみ出すこと」の話にもつながるかもしれないですが、この“plum”という曲が表している、にしなさんの人間性があるとしたら、それはどんなものだと思いますか?
にしな:そうですね……。例えば「正解」と「間違い」みたいなものがあったとして、今の自分はなにが正しいことで、なにが間違っていることなのか、分からないと思っている。というか、「なんでもいい」と思っているんじゃないかと思います。

にしな:人の選択は、その人がそれを選んだのであればそれでいいし、それが他の人から見たら間違いかもしれないし。上手く言葉にできているか分からないけど、とにかく「正解はない」ということ。今の自分はそういうことをすごく思っているんだと思います。それは「曖昧になっている」ということなのかもしれないし、「悩んでいる」ということなのかもしれないけど、そういう部分で“plum”はすごく自分らしいと思いますね。
―その「正解のなさ」や「分からなさ」を受け入れることに、にしなさんはどのように行き着いたのだと思いますか?
にしな:生きていて、いろんな人と出会う中で、自分が思うことや感じることを、他の誰かも同じように感じているわけではない、と教えてもらってきたんです。でも、だからといって自分が信じることが間違っているわけではない、ということも理解してきた。そういうことの連続で今に至るんですよね。

にしな:それに、音楽を作る中で「この曲を当ててやろう!」と思ったとして、思った通りにいかないこともあるじゃないですか。そういうことを繰り返していく中で、結果だけを求めず、過程を大切にすることが大事なんだと思うようになったんです。もちろん今の自分が結果を求めていないわけではないんですけどね。過去のスタイルもそれはそれでアリだし、今のスタイルもまたアリなんだと思う。そうやって人間は変わっていくし、価値観も人それぞれ違うものなんだということを、いろんなことから教わったんだと思います。
―結果だけではなく、「自分はどう生きているのか?」という、生き方の大切さを見つけていったということなのかもしれないですね。
にしな:そうですね。見ていただくお仕事ではあるし、求められるものを頑張って作ることも大切なことだけど、「誰と何を作っているのか?」ということや、「自分自身がどう楽しめるか?」ということは、それ以上に大切なことなのかなと今は思います。
―新曲の“plum”も含めて、特にここ最近リリースされているにしなさんのシングル曲には、そうした「正解のなさ」を受け入れるしなやかな強さ、軽やかさを感じます。
にしな:確かに、まだリリースされていない楽曲も含めて、聴いた印象としては「ポジティブな感じ」とか「ネガティブな感じ」とか様々なものがあると思います。そうやって「様々なもの」を作ることができているのも、自分がそのとき「作ってみよう」と思う方向に気軽に進むことができているからなのかな、と思います。今はそういうタームなのかな。