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“裏庭”で歌われているセルフケア
―“裏庭”はなぎささんの自主企画(※)のタイトルにもなっていて、セルフライナーノーツでは「誰にも侵害されない安全な場所を想像しながら書きました」とのことでしたが、いつできた曲でしょうか。
※自主企画『裏庭』は2023年12月に三輪二郎を招いて初開催。その後はぎがもえか、宗藤竜太、浮、石指拓朗、牧野容也、工藤祐次郎が登場。
むらかみ:この曲は企画を始める前くらいにつくった曲です。ずっと自分の企画が、セルフケアできる場所になったらいいなと考えていて。ライブハウスは初めて来る人にはハードルが高い場所だなとずっと思っていて。だから演者とお客さんという枠を超えて、ただそこにいられる、それぞれ好きに音楽を聴いたり聴かなかったりできるような場所がつくりたかったんです。それを考えたときに連想したのが「裏庭」でした。私の想像する裏庭は自分だけが知っている場所の象徴で、セルフケアできる場所。自分の歌う場所がそういう空間になったらいいなと思っています。
ここは裏庭 誰ものぞかない
むらかみなぎさ“裏庭”
話す言葉は 誰にも届けない
ここは裏庭 誰ものぞかない
胸の中には 大きな穴がある
―セルフケアやセーフスペースの重要性は、現代人にとって大きなテーマになっているようにも思います。なぎささんにとってのセルフケアは、どういうことでしょうか?
むらかみ:まずは自分のことをちゃんと考えてみる、そこに集中するのが私のセルフケアです。自分の傷をちゃんと見ることで他者の傷も見えるんだろうなってすごく思うから、自分のことを考えることは自分のためだけじゃないなと思いました。内省して作品をつくっても、それが結局他者に繋がっていくのをずっと感じていて。やっぱり自分と他者は切り離せないから、繋がろうと思ってなくても結局繋がっていくし、閉じてるようだけど、開かれていく感覚がずっとあるんです。

―安部さんは音楽をつくることにセルフケアの側面があると思いますか?
安部:あると思います。もちろんこれでご飯を食べてるのもあるし、つくらないとイライラしちゃうんですよ。自分の理想があって、全然できてないんですけど、曲をつくってるうちに救われたりするので、やっぱり自分のためですね。でもそうやって自分のために曲をつくったら、意図しないような人たちが集まってくれたりして、やっぱりこれが僕らなりの友達を増やせるやり方なのかなと思うんですよ。僕は打ち上げにも行かないし、居酒屋にも行かないけど、音楽だったらみんなと遊べる。だからすごく助かるというか、音楽がなかったら結構困ってるなと最近よく思います。
