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4年かけて完成したセルフプロデュースアルバム『ごきげん』
ーキャリアを総ざらいしていただきましたが、それらを経たこの15周年で発表するアルバム『ごきげん』にはどんなコンセプトがありましたか?
マーライオン:全曲シングル級といえるマーライオン初心者向けのアルバムを作りたいというのが発端です。今まではどこか真正面から向き合うことを避けてきた、ポップスど真ん中をちゃんとやりたかった。
ーマーライオンにとっての「ポップスど真ん中」ってどんなものを指しています?
マーライオン:松たか子さん、キョンキョンさん(小泉今日子)……。あと僕、小さい頃『ポンキッキーズ』(フジテレビ系列)が大好きだったんですよ。あの番組内でかかっていた曲が収録されたコンピ(『ポンキッキーズ・メロディ』)が家でもよく流れていて。斉藤和義“歩いて帰ろう”、電気グルーヴ“ポポ”とか、よくわかんないけどなんだか楽しくて繰り返し聴いていたあの感覚が、僕の目指すポップスかもしれません。
ー全曲シングル級とのことですが、実際ここ数年配信で発表してきた曲を一挙にまとめた内容ですね。中でも“花言葉“が一番古く、2018年1月のリリース。
マーライオン:ここ数年はできたものから配信していました。今まで予算や締め切り、実力の足りなさもあって、後からもっとこだわれたと思う部分もあったんですけど、今回は絶対に後悔したくなかった。時間とお金を妥協せずに費やして1曲ずつ仕上げていたので、結果作り始めてから4年近くかかっちゃいました。
ー主にどんな部分に時間がかかりましたか?
マーライオン:実はバンドサウンドのフルアルバムをセルフプロデュースしたのが初めてだったんですよ。『吐いたぶんだけ強くなる』は三沢洋紀さん(LABCRY)、『ボーイ・ミーツ・ガール』は佐藤優介さん(カメラ=万年筆)にお願いした作品でした。今回は自分で全部こだわり抜いた分、作るのが大変で。
ー演奏としてはGUIROの厚海義朗さん(Ba)、石川浩輝さん(Dr)、Miss Heavenlyさん(Cho)、荒谷響さん(Tp)、谷口雄さん(Key)を中心としたバンドサウンドで統一されていますね。そこに加えて“海へ海へ海へ”ではMC.sirafuさんのスティールパンや松井泉さんのパーカッション、“雨雲と晴れのあいだ”では和泉眞生さんのバンジョーも加わってバラエティに富んでいます。
マーライオン:今までは僕の音楽知識が少なくて、譜面も書けないから、とことん付き合ってくれて、弾き語りを聴いてもらうだけで全て察してくれる凄腕のミュージシャンとしか一緒に出来なかったんです。でもバンドではなくソロアーティストなので、せっかくなら色んな人と一緒にやりたいじゃないですか。だから2020年からフルート奏者の松村拓海さんに音楽理論のオンラインレッスンをしてもらって、ちょっとずつですけど、曲に合った人にオファーできるようになったんです。
マーライオン:だから今、僕のバンド編成は2軸あって、レコーディングメンバーの他に、最近のライブはベースがオオツカくん(ステレオガール)、ドラムはカラキさん(Superyou)という編成が増えています。6月に東京・渋谷のWWWでやるワンマンも後者の布陣で臨みます。
