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梅井美咲、君島大空との共演で感じた、箏の本来の性質
ーどの曲でも音が加工されて独自の音像になっていて、曲ごとのジャンルはそれぞれでも、そこがアルバム全体の特徴になっていますよね。
LEO:僕が自分の音楽とエレクトロニクスを結びつけるときは、箏の音に飽きたから違う音の要素を入れるという感覚ではないんです。箏という楽器を拡張するために電子音を入れるという感覚がしっくりきているので。

ー1曲目の“Cotton Candy”は梅井美咲さんが作曲、トラックメイク、ピアノの担当で、ミックスが君島大空さん。この曲もどこまでが箏かわからないような、不思議な音像です。
LEO:梅井さんはピアニストとしても素晴らしいですけど、そこだけにとどまらないアイデアの宝庫みたいな方なんです。だから特にプランを立てないまま、とりあえず練習スタジオに入りました。彼女はキーボードを弾いたり、ドラムマシーンをいじったり、僕もエフェクターをいじりながら箏を弾いたり。そうしているうちに面白いアイデアがいっぱい出てきて、そのままレコーディングに入りました。そこに君島さんも加わってくれて、梅井さんのグランドピアノの音を君島さんがコントロールームで加工しながら、1時間半ほど3人でずっとセッションしてるような感じでしたね。途中からは、誰がどの音を鳴らしているのかわからないようなトランス状態で、でもいい感じに音が紡がれて、その素材をもとにトラックメイクをしてもらったんです。即興の中で偶然生まれた面白い音がたくさんあって、その偶然性を生かしたからこそ、また同じものを作ろうとしても絶対作れない、面白い曲になったと思います。
ー君島さんの音楽もポストプロダクションが重要で、その感覚は間違いなくこの曲にも表れていますね。
LEO:箏はピアノやギターみたいにいろんな音を同時に出したり、クロマチックに弾ける楽器ではないので、昔はそこをコンプレックスに感じていたんです。でも箏はもともと音色や質感を大事にする楽器なんですよね。だから最終的には質感の部分に行き着くし、そこに向き合わないといけない。その道筋が今回少し見えた感じがしています。今回参加してくれた林正樹さんもU-zhaanさんも、みなさん音の質感を大事にしてる音楽家だったので、そこもすごく大きかったですね。
