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レディー・ガガ5年ぶり新作『MAYHEM』レビュー。ごった煮が魅力のダンスポップ

2025.3.12

#MUSIC

レディー・ガガ約5年ぶりのオリジナルアルバム『MAYHEM』が、2025年3月7日(金)にリリースされた。初期のガガを思わせるダークなダンスチューンから、ブルーノ・マーズとのデュエットまで、バラエティに富んだ15曲を収録した本作を、音楽ライターのimdkmが解説する。

多彩なサウンドの原点回帰的なアルバム

レディー・ガガのニューアルバム、『MAYHEM』がリリースされた。ソロでのフルアルバムとしては、ハウスミュージックにオマージュを捧げた前作『Chromatica』(2020年)から約5年のブランクを経た一作だ。とはいえ、トニー・ベネットとのコラボレーションや、俳優としての活動や映画関連作品のリリース、あるいはラスヴェガスでのレジデンス(長期公演)も開催するなど、ガガはアメリカのエンターテインメント界で確固たる存在感を放ってきた。そんなガガが果たしてどのようなアルバムをつくりあげたのか、リリース前から大きな注目をあつめてきた。

『MAYHEM』を一言であらわすなら、2000年代末に衝撃的なデビューを果たしたポップアクトとしてのレディー・ガガへの「原点回帰」だ。すでに、さまざまなメディアのインタビューやレビューが、本作のそうした側面に高い評価を与えている。アメリカの華やかなショービズの世界へ挑んできたガガが、アグレッシヴでカオティックな初期のバイブスへと立ち返る。ゼイン・ロウによるガガへのインタビュー(※1)が、彼女がアーティストとしての形成期を過ごしたニューヨークのロウワーイーストサイドにあるカフェで収録されているのは、そんな本作の性格を象徴するプロモーションといえよう。

アルバムのサウンドは、ユーロダンス的なケレン味のあるダンスポップにダークなツイストを加えた初期のガガを彷彿とさせるトラックから、怒りの感情を押し出した(本人いわく)「エレクトログランジ」な楽曲、快楽主義的なディスコチューン、ドラマチックなバラード……と多彩。特にダンスポップ路線についていえば、CirkutやGesaffelsteinといったプロデューサーの参加もあいまって、昨年きっての話題作Charli XCX『Brat』を連想するところもある。『Variety』紙などは、“Abracadabra”をCharli XCXの”Von Dutch”になぞらえて評価している(※2)。しかし、たとえば「『Brat』以降」の作品として『MAYHEM』を語るのならば、『the Quietus』でCJ・ソープ・トレイシーが、そもそもガガは「マドンナの1990年代と『Brat』の2020年代のあいだをつなぐ存在」なのだと指摘している(※3)のが重要だろう。

※1 Lady Gaga: The MAYHEM Interview with Zane Lowe https://www.youtube.com/watch?v=ts-r3J0uqdk

※2 A Guide to Lady Gaga’s ‘Mayhem’ References: David Bowie, Prince, Herself, and More https://variety.com/2025/music/news/lady-gaga-mayhem-references-prince-bowie-1236331181/

※3 Reviews Lady Gaga Mayhem https://thequietus.com/quietus-reviews/lady-gaga-mayhem-review/

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