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岸本家の揺るがない柱・草太の独立

第9話は「独立」がテーマだったように思う。なぜなら、草太が実家を出る回だったからだ。彼は、変わらないことで、岸本家の揺るがない柱になっていた。上京し、作家となり、様々な変化を遂げていく七実や、車いすユーザーになったことで、ライフスタイルや仕事を劇的に変えていったひとみ、認知症になる芳子と、岸本家は変わり続ける家族だった。変わらず、そこに居続けるのは草太だけで、それは彼の強さでもあった。だから、彼は死者である耕助を自在に召喚できるし、行動を共にすることができるのだと思っていた。だから、第9話で、彼も家から出て行ったことには、大きな意味がある。草太は母・ひとみに心配されながらも、一人暮らしを夢見て、グループホームでの生活を始めていく。母だけでなく、父からの独立も印象的だった。
1人でグループホームから実家まで帰る道の途中、いつものように草太が召喚したのだろう父・耕助が彼の隣を歩く場面において、「この道でええ?」「僕、間違ってない?」という問いに対し、「そのままで、ずっと合うてる。これからもずっと合うてる」という答えをもらった彼は、「パパ、今までありがとう」と耕助に感謝の気持ちを伝える。その瞬間、耕助は消えて、草太は1人で帰路につく。そして、七実の友人・天ヶ瀬環(福地桃子)の言葉を借りれば「あの波乱万丈を乗り越えた岸本家が解散」する。でも、離れた場所に住んでいても、それぞれに生きたいように生きていても、家族はちゃんと互いのことを想い、集まる時は集まる良さを、本作はしっかりと描いていた。