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話題のドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』にかけられた魔法

2024.8.20

#MOVIE

毎週火曜夜10時から放送中のテレビドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(NHK総合)。『不適切にもほどがある!』(TBS系)でも注目された女優・河合優実が連続ドラマ初主演を務めたことでも話題だが、実は、既に2023年5月にNHK BSで放送されていた番組の再放送となっている。

満を持してNHK総合での放送となったのは、河合優実の人気拡大も影響してのことだろうが、放送当時から多くの視聴者から好評の声が聞こえた本作。

原作は同名エッセイ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』。人気作家・岸田奈美が、自身の家族の一言では説明できない情報過多な日々のことをつづったベストセラーで、2023年3月には文庫化もされている。

このエッセイを原作にした脚本(市之瀬浩子・大九明子・鈴木史子)を、映画『勝手にふるえてろ』(2017年)などを監督してきた大九明子が演出し、現実と想像の境界が曖昧な不思議なテイストでありながら、笑えて泣ける作品となっている。

そんな通称「かぞかぞ」について、ドラマ・映画とジャンルを横断して執筆するライター・藤原奈緒がレビューする。

※本記事にはドラマの内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

出会ったすべての人への愛が滲み出ている原作

©NHK
©NHK

NHK BSで2023年に放送されたドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』が7月9日からNHK総合にて再放送中だ。父は急逝し、母は突然病に倒れて車いすユーザーになり、弟はダウン症と、原作者の岸田奈美さんをモデルにした岸本七実(河合優実)の人生は波乱万丈で、第4話を終えた現時点では過酷ではあるが、エネルギーに満ちてもいて、見ているだけで元気をもらえる。また、七実、母・ひとみ(坂井真紀)、弟・草太(吉田葵)、祖母・芳子(美保純)、そして父・耕助(錦戸亮)という岸本家の人々のみならず、七実の友人・環(福地桃子)から宅配業者・陶山(奥野瑛太)、コンビニ店長・持田(名村辰)といった彼女の人生を行き交う人々に至るまで、一人ひとりが愛すべきキャラクターとして描かれている作品もそうは無いだろう。それは、「愛」に溢れているタイトルからもわかるように、原作に元々備わっていた性質と言える。なぜなら、日常で起こるあらゆるミラクルを発見し、心から楽しむことができている原作の文章からは、家族への愛のみならず、出会ったすべての人への愛が滲み出ているからだ。そこに映像作品ならではの魔法をかけたのが、映画『勝手にふるえてろ』などの大九明子だったのではないかと思う。本稿では、そんな「『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』の魔法」について考える。

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