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固定概念に縛られない自由な発想から生まれた、新しいクレジット
―アルバムには高校生の頃に作った曲もあれば、廻花として最近作った曲もあるので、最初から「こういうアルバムにしよう」みたいな感じではなかったと思うんですけど、結果的に自分にとってどんな意味のある作品になったと感じていますか?
廻花:おっしゃる通り、総集編みたいなアルバムかなと思います。『うまれるまえからきみをしってる』というタイトルは、“かいか”の歌詞に入ってる言葉で、新しく出てきた存在だけど、前からいた自分のことを歌ってきたし、その意味でも花譜として書いた“マイディア”と“リメンバー”がこのアルバムに入ってることが、自分にとってはすごく意味があって。
この2曲をどっちの名義で出すのかずっと悩んでいて、廻花名義で出したら、花譜だけが好きな人の良い思い出まで奪っちゃうんじゃないかと思って。でも“マイディア”はファンの人たちへの思いを書いた曲だし、“リメンバー”は花譜のオリジナル曲をずっと書いてくださってたカンザキイオリさんに対しての思いを書いた曲で、どっちも自分の気持ちから生まれたものだから、その意味では廻花の曲と同じだなと思って。これからも並行して活動を続けていくし、全く別の存在でもないし、そういう自分の意思表示として、今回アルバムに入れさせてもらいました。

新世代のバーチャルシンガーソングライター。2024年1月14日、国立代々木競技場第一体育館で開催された花譜 4th ONE-MAN LIVE『怪歌』よりデビュー。幅広いジャンルの音楽に対して、多彩なアプローチや表現が出来る「花譜」の新たな分岐点として、彼女の内側から湧き上がる自身の衝動的な気持ちを歌にして解き放つ。彼女自身の独特の感性で、日々の思考や感情、記憶を音と言葉にしていく。誰にも壊すことの出来ない、力強く美しいエネルギーが開花する。
―この2曲が入ってるのはすごく重要ですよね。でも最初は花譜として歌った曲を廻花名義の作品に収録するかどうかには迷いもあったと。
廻花:自分が一番そういうことを気にしてたというか、やっぱり花譜はチームのみんなで作り上げてるものなので、そこに自分の個人的なものを混ぜるのは違うんじゃないかと思っちゃってたんです。
たまに考えるんですけど……例えば、花譜のライブで間違ってモニターの前に自分が出て行ったら、やばいやつが乱入してきたとしか思われないよな、みたいな(笑)。そういう感覚が自分の中で少しコンプレックスだったけど、このアルバムが出ることによって、自分の中でも整理ができたというか、それって本質じゃないな、って思えるようになって。花譜と廻花は自分を通して地続きなんだって、そういう意思表示ができたかなと思います。
―この2曲は作詞作曲のクレジットが「KAIKA & KAF」になっていて、それもすごく素敵だなと思いました。
廻花:クレジットを分けて、どっちかは嘘だったんだと思われるのが嫌だなと思ったんですけど、自分としてもこういうふうに自由に定義できるようになって、今はすごく活動しやすい。この名前だったらこうとか、そういう固定概念に縛られず、自分の好きなように選べるのはすごくいいことだなと思いました。