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映画『違国日記』の親のような眼差しーーわかりあえない二人の同居譚

2024.6.7

#MOVIE

Ⓒ2024 ヤマシタトモコ・祥伝社/「違国日記」製作委員会
Ⓒ2024 ヤマシタトモコ・祥伝社/「違国日記」製作委員会

人気漫画が原作である映画『違国日記』はどう描かれたか

映画『違国日記』は、2017年に漫画雑誌『FEEL YOUNG』にて連載開始し、『マンガ大賞 2019』第4位、宝島社『このマンガがすごい!2019』オンナ編第4位など多くの漫画賞を賑わせた同名漫画が原作である。両親を突然事故で亡くした中学3年生の朝と、彼女を引き取ることになった叔母である少女小説家・槙生との共同生活を軸に、完全にわかりあうことができない他者とそれでも共生していくことや、自分の居場所を見つけていくことなど、現代社会を生きる人々がモヤモヤと抱える淡い葛藤を見事に描いている。

田汲朝(早瀬憩) Ⓒ2024 ヤマシタトモコ・祥伝社/「違国日記」製作委員会
高代槙生(新垣結衣)Ⓒ2024 ヤマシタトモコ・祥伝社/「違国日記」製作委員会

漫画ではモノローグによって差し挟まれるキャラクターたちの心情描写が作品自体の深みを増し、人の感情や社会というものに対して繊細に、誠実に向き合う作者ヤマシタトモコの姿勢が感じられた。しかし映画にはモノローグの代わりとなるようなボイスオーバーは入っておらず、ほとんど人と人とが交流する様子のみで心情の機微を描き出すことに成功している。

瀬田なつき監督は公式インタビューにおいて、漫画完結前に脚本を執筆せねばならず、「暮らしをスケッチのように現在進行形で描くことで、徐々にそこにある想いや、人間関係がいろんな形で浮かび上がっていくことを目指した」と語るが、まさに本作では朝や槙生たちの関係、さらには彼ら自身の心情のうつろいが鮮やかに描かれている。

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