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『ひゃくえむ。』劇場アニメ化の難題、“名言”と“速さ”をどう描くか。岩井澤監督が語る

2025.9.18

#MOVIE

影響を受けた高畑勲作品、そして多様性への挑戦

─監督ご自身が影響を受けたアニメーション作品について、教えていただけますか。

岩井澤:若い頃は、ちょっとひねくれていたので、ジブリ作品をあまり熱心に見ていなかったんです。みんなが口を揃えていいと言っているものは避けたい気持ちもあって。でもこの業界に入ってしばらくしたタイミングで改めて観てみると、特に高畑勲作品はとんでもなくすごいことをやってのけていることに気づきました。高畑監督は演出がめちゃくちゃソリッドで「え? こんなことしちゃうの?」という驚きに溢れています。そのままオマージュすることはありませんが、確実に影響は受けています。

自分もそうですが、歳を重ねてくると若い頃のように色々とインプットできなくなってくるじゃないですか。でも、高畑監督は常にアウトプットの方法を更新し続けていたので、きっと相当量のインプットをされ続けていたんだと思います。

僕はゼロからイチにするっていうのがなかなかできないんです。何か物語を生みだそうとしても面白くならないんですね。ゼロから作るのは無理でも、自分の力でも挑戦しがいがあるような部分はまだまだあると思っています。

トガシが通う鰯第二高校陸上部の先輩である浅草と、椎名 / ©魚豊・講談社/『ひゃくえむ。』製作委員会

─過去に「アニメに多様性をもたらしたい」とも語っていらっしゃいました。どのようなことに挑戦したいと考えていらっしゃいますか?

岩井澤:日本は世界に比べてもたくさんのアニメーションが製作されているんですが、国内市場に向けて作られているものがほとんどなので、数は多くても作品はどれも似通っています。「儲かる」という視点で作られているものも多いと思います。だからこそ、アニメーションではまだ珍しい「ロトスコープ」という手法を使ったり、まだまだ手付かずなことを試していきたい。そういう意味で多様性をもたらしていきたいと考えています。『音楽』と『ひゃくえむ。』で、岩井澤ってこういうものを作るんだと、思っていただけたかなと思ったので、今後も自分の色みたいなものをもっと確立していきたいですね。

劇場アニメ『ひゃくえむ。』

2025年9月19日(金)全国公開
監督:岩井澤健治
声の出演:松坂桃李、染谷将太/笠間淳、高橋季依、田中有紀ほか
原作:魚豊『ひゃくえむ。』(講談社「マガジンポケット」所蔵)
製作:『ひゃくえむ。』製作委員会
配給:ポニーキャニオン/アスミック・エース
https://hyakuemu-anime.com

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