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人間のリアルな反応を楽しませるための「秘密」

第5話までに、清美が務める富士浅田市のビジネスホテル「レイクホテル 浅ノ湖」支配人・奥田貴弘(田中直樹)と清美の同僚・磯村由美(夏帆)は、高橋が宇宙人であることを知った。そして、第6話では、支配人からの宇宙人としての能力では叶えられない細々としたお願いや、由美からの宇宙人であることを幼なじみに話してもいいかの確認など、第1話で清美や清美の幼なじみ・はっちとみなぷーが高橋に見せた反応を繰り返すような展開となった。
清美がはっち、みなぷー、そして、清美たちの同級生・「あやにゃん」こと岡田綾乃(木南晴夏)と共に訪れた同じく同級生・「のんちゃん」こと稲本紀子(MEGUMI)が営むバーで働く由美の幼なじみ・瑞稀が高橋のことを何となく知っており、由美が高橋に確認するよりも前に瑞稀に話していたことが分かる構成も巧みだ。清美たちも、うっかり口を滑らし、綾乃に高橋が宇宙人であることを話してしまう。

第7話では、再び『月曜から夜ふかし』のディレクター・岸本祐馬(池松壮亮)と松崎将吾(前田旺志郎)が富士浅田市へ。彼らが乗ったタクシー運転手の証言により、富士浅田市で起こる不可解な現象について、高橋に疑いの目が向けられてしまう。しかし、岸本にインタビューされた由美と瑞稀が高橋のことをとっさに誤魔化したり、後に明らかになったように、瑞稀が超能力者としての能力を使って岸本たちの取材データを消したりしたことで、高橋の秘密を守ることができた。それは、秘密を知る人が増えたからこそとも言える。
多くのドラマがそうであるように、秘密は、物語を牽引する鍵になる。しかし、『ホットスポット』は高橋が宇宙人であるという秘密でストーリーを引っ張るのではなく、その秘密を通してそれぞれのキャラクターがどんな反応を見せるのかに重きを置いて描いている。
秘密を知っているのか知らないのか、その秘密にどんな反応を見せるのか、その秘密がバレそうになった時、どう反応するのか。ほとんど悪い人が出てこないドラマだからこそ、そんな、人間が見せるリアルな反応のバリエーションが楽しめるのが『ホットスポット』ならではの面白さと言えるだろう。