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「寓話性」の強さは好みが分かれるか
唯一好みが分かれるとしたら、後半に進むにつれて「寓話性」が強まる点だろう。「迷宮のような家からの脱出を試みる」といったシンプルなスリラーを望む人にとっては、その期待とのズレを感じてしまうかもしれない。主体となるのはやはり「宗教についての批評」であり、一種のアレゴリーとして見たほうがいいのかもしれない。
なお、監督・脚本のスコット・ベックとブライアン・ウッズのコンビは、2019年に『ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷』という、「6人の大学生が殺人鬼の作ったお化け屋敷で地獄のような経験をする」という、やはり「ヤバい家に足を踏み入れてしまう」プロットのホラーを手がけている。こちらはあの手この手のギミックが主体なので、エンタメ性を求める方は、こちらのほうが気に入るかもしれない。同時に、若者がトラウマに向き合う成長物語になっており、それは今回の『異端の家』にも通じるところもあったので、併せて観てみるのもおすすめだ。

『異端者の家』

2025年4月25日 (金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督/脚本:スコット・ベック、 ブライアン・ウッズ
キャスト:ヒュー・グラント、ソフィー・サッチャー、クロエ・イースト
原題:Heretic|2024年|アメリカ・カナダ|字幕翻訳:松浦美奈
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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公式サイト:https://happinet-phantom.com/heretic/