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「記憶」「嘘」「レトロな小道具」を通底するモチーフとして扱ってきた
タカノ:工藤さんは今までの作品の中で、通底するモチーフがあると伺いました。
工藤:大きく3つあります。まず、人が持っている記憶や、忘れてしまうこと、忘れられないことです。あとは、嘘や偽装することもモチーフとして扱ってきました。映画の中でレトロな小道具が出てくることが多いんですけど、そういった形のあるものを映画で捉えたいなと思っていて、それも今までの作品で通底しているところだと思います。
Celeina:今回の作品で登場するレトロな小道具というと、トランシーバーとか凧でしょうか。
工藤:そうですね、そういったアイテムも考えて出しました。
Celeina:それぞれのアイテムも、意図があって登場させているんですね。
工藤:携帯ではないな、というのがあって。相手が見える距離にいるけど、遠い距離感でコミュニケーションを取れたらすごく映画的でもあるし、彼らの距離感を表せるかなと思って、トランシーバーを使って会話をするシーンを入れました。
タカノ:男の子2人と女の子1人の、3人の青春っぽいシーンがあったりしますよね。
Celeina:車に乗って遠くまで出かけたり。
タカノ:草原のシーンがあるんですが、そこでトランシーバーが効果的に出てくるという感じですね。青春感がより強まるアイテムというか。確かに、スマホでも電話できちゃいますけど。
工藤:そうですね。それだとちょっと味気ない感じがしていて。
タカノ:携帯が出てこなかったからか、時代設定もちょっと曖昧な印象を受けました。
工藤:時代感をちょっとぼかしつつ作ったというか、いつの時代に見られても共感してもらえるような映画にできたらいいなと思っていました。これまでもそうでしたし、今回の『オーガスト・マイ・ヘヴン』にもそういう思いがありましたね。