グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
2月5日は、「MOTION GALLERY」の大高健志さんからの紹介で、映画監督の工藤梨穂さんが登場。最新作の『オーガスト・マイ・ヘヴン』についてや、自身の作品に通底しているモチーフ、映画作りで大切にしていることなどについて伺いました。
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最新作は、「演じる」という嘘から人間関係が新たに構築されるような物語
Celeina(MC):工藤さんは1995年生まれ。京都芸術大学映画学科の卒業制作『オーファンズ・ブルース』が様々な賞を受賞し、その後2020年に『裸足で鳴らしてみせろ』で商業デビューされました。そして2025年2月1日(土)から、最新作『オーガスト・マイ・ヘヴン』が公開されています。
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— 映画『オーガスト・マイ・ヘヴン』/ 工藤梨穂監督 (@augustmyheaven) December 19, 2024
映画『#オーガスト・マイ・ヘヴン』
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『オーファンズ・ブルース』
『裸足で鳴らしてみせろ』#工藤梨穂 監督最新作
2/1(土)より
ユーロスペース、Stranger、K2
ほか全国順次公開決定!
🛹 2/1(sat) 𝙎𝙏𝘼𝙍𝙏 🪁#AMH pic.twitter.com/dcleo4sOKr
タカノ(MC):まずは『オーガスト・マイ・ヘヴン』のあらすじを教えてもらえますか。
工藤:ある町に代理出席屋という職業をしている女性がいて、中華料理屋の店員の男性は彼女に恋をしています。夏のある日、彼女が代行の仕事で葬儀場に行くと、そこで夢で見た見知らぬ男と出会って、誰かに間違われるんですね。その葬儀場で出会った男が、中華料理屋の男性の友達で……というところからちょっと奇妙な旅が始まる、という映画です。
タカノ:我々も見させていただいたんですが、素晴らしかったです。
Celeina:映像から滲み出ている青春の空気感やバイブスが良かったです。そして、そういった空気感の中にある、人と人が織りなすストーリーというか、我々には見えないところで色々なことがあったんだなと想像させられるような感覚があって、何度も何度も見返したくなる映画だなと思いました。
タカノ:色とかがすごく綺麗で、ずっと見ていたくなる感じがありました。ネタバレになっちゃいそうで怖いですが、僕個人としては、始まりと終わりが表裏一体になっているような感覚が、すごく新鮮で面白かったです。
工藤:ありがとうございます。
Celeina:『オーガスト・マイ・ヘヴン』の脚本と監督をどちらも務められているとのことですが、今回の構想はどこからスタートしたんですか?
工藤:俳優さんが芝居を演じる時って、実際の関係性と役柄の関係性があるじゃないですか。芝居の中で織りなされる二重のコミュニケーションみたいなところがすごく面白いなと思っていて。「演じる」という嘘から、人間関係が新たに構築されるような物語ができないかなと思って考えました。
タカノ:代理出席屋をやっている、村上由規乃さん演じる譲という女性が出てくるんですけど、嘘をついている演技というか、演じている演技がすごくリアルでした。ぎこちなさからも嘘をついているとすごくわかる感じが、リアルでよかったですね。
工藤:嬉しいです。
Celeina:本当に繊細な演技で、絶妙でしたよね。
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「記憶」「嘘」「レトロな小道具」を通底するモチーフとして扱ってきた
タカノ:工藤さんは今までの作品の中で、通底するモチーフがあると伺いました。
工藤:大きく3つあります。まず、人が持っている記憶や、忘れてしまうこと、忘れられないことです。あとは、嘘や偽装することもモチーフとして扱ってきました。映画の中でレトロな小道具が出てくることが多いんですけど、そういった形のあるものを映画で捉えたいなと思っていて、それも今までの作品で通底しているところだと思います。
Celeina:今回の作品で登場するレトロな小道具というと、トランシーバーとか凧でしょうか。
工藤:そうですね、そういったアイテムも考えて出しました。
Celeina:それぞれのアイテムも、意図があって登場させているんですね。
工藤:携帯ではないな、というのがあって。相手が見える距離にいるけど、遠い距離感でコミュニケーションを取れたらすごく映画的でもあるし、彼らの距離感を表せるかなと思って、トランシーバーを使って会話をするシーンを入れました。
タカノ:男の子2人と女の子1人の、3人の青春っぽいシーンがあったりしますよね。
Celeina:車に乗って遠くまで出かけたり。
タカノ:草原のシーンがあるんですが、そこでトランシーバーが効果的に出てくるという感じですね。青春感がより強まるアイテムというか。確かに、スマホでも電話できちゃいますけど。
工藤:そうですね。それだとちょっと味気ない感じがしていて。
タカノ:携帯が出てこなかったからか、時代設定もちょっと曖昧な印象を受けました。
工藤:時代感をちょっとぼかしつつ作ったというか、いつの時代に見られても共感してもらえるような映画にできたらいいなと思っていました。これまでもそうでしたし、今回の『オーガスト・マイ・ヘヴン』にもそういう思いがありましたね。