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「あの頃を思い出す」展示のレイアウト
タカノ:「絶滅メディア博物館」は展示品の8割が寄贈品とお聞きしていますが、どのような方が寄贈されるんですか?
川井:断捨離掃除で出てきたものを寄贈してくれる方もいますし、お父さんが大切に使っていた蛇腹のカメラがあるんだけど、私は分からないから保管してくださいという方もいらっしゃいますね。
Celeina:キュレーションの基準は?
川井:基準は設けていないので、皆さんに寄贈していただいたものを僕が並べている感覚です。キュレーターは皆さんなんです。
タカノ:各コーナーで分類されているのが良いなと思います。川井さんがお持ちのそちらのアイテムは、ダッシュボタンですよね?
川井:そうですね。ボタン1つ1つに洗剤やペットフードの名前が記載されていて、このボタンを押すと翌日Amazonから商品が届くというボタンです。2015年に発売されたアイテムなんですが、2019年にサービスが停止してしまいました。
Celeina:押していいですか? 明日洗剤届いちゃいますかね(笑)。
川井:ずっと同じ商品を買い続けていても、ある時別のものに変えたくなったり、セールの商品を買いたくなったりするじゃないですか。だから、便利ではあるんですけど、1品ものなのがネックかなと。
タカノ:いろいろなものに触れられるのが魅力だと感じました。メディアの歴史だけではなく、自分史を追っている感覚もありますよね。
川井:ガラケーやMD、カセットテープ、ウォークマン、それぞれの世代に思い入れがあると思いますし、「これで聴いていたな」とあの頃を思い出すことができるように展示をレイアウトしています。
タカノ:30、40代の方は、MDにプレイリストを作ってあの子に貸した甘酸っぱい学生時代の思い出が蘇りますよね。
川井:あとは、ガラケーに使える外付けキーボードで長文を打って返信していた思い出もあります。
タカノ:友達が持っていました! 僕はウィルコムの「W-ZERO3」を大学時代に持っていたことを思い出しました。
川井:PDAの後期のアイテムですね。昔はPDAも多様な種類があったんですけど、大体iPhone以降駆逐されてしまったんですよ。「スマホでいいや」となってしまった。でも、黎明期はカンブリア大爆発のように、デザイナーも企業も新しいものを次々にリリースするんです。最近だとレトロなカメラにトレンドが帰ってきているように、最終的に1つに集約されてしまう。僕はその集約される前の試行錯誤している時期が好きなんです。
