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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

映像ディレクターのウエノ・ジュリーは、藤子・F・不二雄とジャック・ラカンを意識する

2024.6.19

#ART

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

3月6日はブランド「NEO」の作家で高円寺にある居酒屋「三角公園」の店主、よしながゆめこさんからの紹介で、映像ディレクターのウエノ・ジュリーさんが登場。藤子・F・不二雄から影響を受けたという特徴的なキャラクターデザインの秘密や、キャラクターを生み出す上で意識しているジャック・ラカンの哲学などについて伺いました。

キャラクターデザインのモチーフは、自身が好きな猫と鳥

ジュリー:三角公園でいつもベロベロになっている「J」ことジュリーです。お邪魔します。ゆめちゃんにはジュリーと呼ばれています。

タカノ(MC):三角公園に行ったら会える?

ジュリー:会えます。「公園でベロベロ」と言うと、やばいおじさんみたいですね。

Celeina(MC):お仕事はフリーの映像ディレクター、ということですけれども、最近は渋谷のMIYASHITA PARKのファサード映像を担当されたとのことで。このお仕事はどのように決まったのでしょうか?

ジュリー:「THE [ ] STORE」さんというポップアップショップがMIYASHITA PARKに入っているんですけど、そこの運営会社の社長さんと偶然飲み屋で隣の席になったんです。その社長さんが働いている会社に僕の友人が勤めていて、「奇遇だね」というところから話が盛り上がって、作らせていただきました。

タカノ:飲み屋に行こうかな、仕事がもらえるかもしれない(笑)。偶然の繋がりからのお仕事ということですけれども、我々も作品をWebサイトなどで拝見しました。めちゃめちゃかわいいんですけれど、その中にはプチカオス感もあって、そこにジュリーさんのセンスを感じました。かわいいだけじゃない、ストレンジ感も秘めているところが特徴ですよね。

Celeina:キャラクターデザインは、何かモチーフがあるのでしょうか?

ジュリー:猫がすごく好きで、自分でも猫を飼っているので、猫が多いですね。

タカノ:たしかに猫が多いかもしれない。

ジュリー:あと鳥は、見るのも食べるのも好きです。

タカノ:ちょっとドキッとする言い方ですね。

Celeina:今のワードは並べない方がいいかもしれないです(笑)。

ジュリー:焼き鳥屋さんによく行くということで、やらせていただいております。

アイコニックなキャラクターが生まれる秘密とは

タカノ:デザインやイラストを作る上で、哲学は何かあるのでしょうか?

ジュリー:憧れというか超有名どころですけれど、「某」藤子先生がいまして(笑)。表現が難しいんですけれど、一目見ると、藤子先生が描いていると分かるじゃないですか。どのキャラも同じパーツが施されていたり、それが個性になっていたり。そういったことを僕もやっていきたいですね。人々が常に目にするような普遍的なものを自分も作ってみたいというのは、子どもの頃からずっと思っています。

タカノ:確かにジュリーさんの作家性は、キャラクターを見るとすぐ分かりますよね。オリジナリティがある。

ジュリー:猫好きの人が「マズル」と呼んでいる、人中の真横の、髭が生えているぷにっとした場所が好きなんですよ。なので、僕のキャラはそこを伸ばしているんです。

Celeina:そこでジュリーさんらしさを出しているんですね。

タカノ:そして先日、駒ヶ根高原スキー場で開催されたMUSIC CAMP 外氣浴外伝『NOTRACK』のフライヤーのデザインもされたそうで。めちゃめちゃかっこいいんですよ。スキー板を履いている鳥さんですかね。

ジュリー:そうですね。

Celeina:かわいい。

タカノ:ゴールドの鳥さんがいっぱいいますけれど、これのインスピレーションはどこから生まれたんですか?

ジュリー:1980年代の冷蔵庫のキャラクターとかって、ペンギンとかペリカンがモチーフになっていたりするんです。今回スキー場でイベントをやるので、そういうキャラを自分なりに作ってみたいと思ってできたのが、この鳥でした。最初は水色で塗っていたんですけど、ペンギン感がありきたりだなと思っていた時に、1回金箔を貼ってみたんですよ。そしたらゴールドの鳥がいい感じだなと思って。あと出演者が比較的若かったりするので、「みんな音楽続けてくれよ」みたいな、「ステイゴールド」的な意味も込めました。

Celeina:すごくアイコニックなデザインですよね。

タカノ:フィギュアとか欲しくなります。

ジュリー:出したいですね。誰か作ってくれる人がいたら、お電話ください。

タカノ:さあ、ということでここで曲を挟みましょうか。ジュリーさんにこの時間にみんなで聴きたい曲を選んでもらったんですけれども、選曲理由から教えてください。

ジュリー:私がキャラを作っている、You got Yasushiという尖った男がいまして、みんなで聴ける春のお花見の曲だったりするので、選びました。You got Yasushi で“青春汚冗談-Blue Spring Dirty Jokes”。

キャラクターを作る上で、ジャック・ラカンに影響を受けている

タカノ:先ほどはキャラクターを作る上で藤子・F・不二雄先生のお話が出ましたけれども、それ以外にも影響を受けた方はいますか?

ジュリー:この話を出すと面倒くさいと思われることが多いんですけれど、ジャック・ラカンという大昔の哲学者が好きで。

タカノ:構造主義みたいな。

ジュリー:構造主義の考え方も入っていますし、ジャック・ラカンの一番有名な考え方は「象徴界」「想像界」という考え方です。僕らの想像力はどこから来ているんだろう、という話で。例えば、太陽が出ていて、黒い雲で隠れてしまった。こういう現象が起きた時に、「太陽が隠れてしまった。悪いことが起きる前兆だ」と嫌な気持ちになってしまう人もいれば「これから雨が降るかも。ラッキー」と思う人もいるんですよね。前者は太陽信仰があるかもしれないし、後者は雨が降った日のデートが楽しかった、という経験があるかもしれない。前者でいう信仰、後者でいう経験が、ジャック・ラカンのいう「象徴」なんですよね。

この象徴が僕たちの創造を統制しているんですよ。だから僕たちが何かが起きた時に、想像をめぐらせたり感情が働いたりすることの裏側には、象徴があるんですよね。象徴は人それぞれ全然違っていて、キリスト教やイスラム教でも違うし、それが親だったりするかもしれないんです。これによって人格やキャラクターが決まってくる、ということがジャック・ラカンのざっくりとした解説なんですが、こういうことにすごく興味があります。

Celeina:めっちゃ面白い。

ジュリー:僕らって意外と自分の想像を変えることが難しいんですね。これを変えるには、その象徴の部分を理解する必要があって、僕の場合は、キャラクターに転化させていきたいんです。自分は変わるのが難しかったり、人も変わってくれなかったりするけれども、キャラクターであれば簡単にコントロールできる。そういうことも考えながら、キャラクターを作っています。

タカノ:YouTubeの解説動画を見ているみたいで、めちゃくちゃ分かりやすかったです。俺も勉強します。

Celeina:私も勉強したくなった。

タカノ:そして背景を知った上で、もう1回ジュリーさんの映像や作品を見ると、より解像度が高くなりますね。

ジュリー:僕のキャラは大体が虚無の目をしています。僕自身がそうなので。

タカノ:そんなことないですよ。素敵な眼鏡をかけてらっしゃる。

Celeina:さて『FIST BUMP』、グータッチで繋ぐ友達の輪、ということでお友達を紹介してもらっています。ジュリーさんが紹介してくださるのはどんな方ですか?

ジュリー:先ほど話に出たMUSIC CAMP 外氣浴外伝『NOTRACK』にも出演しているPONEYくんというラッパーの方です。

Celeina:一言で表すと?

ジュリー:「ラップ怪獣」ですね。彼ほどラップラップした人間は、なかなかいないんじゃないかと思います。

タカノ:明日お話しするのが楽しみです。

Celeina:明日はラッパーでギネス記録保持者の「ラップ怪獣」こと、PONEYさんに繋ぎます。今日お迎えしたのは、映像ディレクターのウエノ・ジュリーさんでした。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

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