グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
10月16日は、衣装デザイナーの高橋毅さんが登場。『AKIRA』Tシャツを収集し始めたきっかけや、コレクションの種類、衣装デザイナーとしての仕事についてのお話を中心に伺いました。
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公式の『AKIRA』Tシャツをコレクション
Celeina(MC):週の最初は番組が推薦する、この方。『AKIRA』Tシャツの収集家で、衣装デザイナーの高橋毅さんです。よろしくお願いします。
タカノ(MC):高橋さんは今日も『AKIRA』のTシャツを着てスタジオに来てくれたんですが、どういうセレクトですか?
高橋:1990年くらいに国際版の『AKIRA』が出版されたんですが、その時の懸賞で当たった人しか持っていないプレゼント用のやつです。
タカノ:めちゃくちゃレアですね。
Celeina:漫画のコマのデザインになっていて、吹き出しの中に英語が書かれていますね。

タカノ:どうやってゲットしているのかも気になります。沢山Tシャツを持ってきていただいて、スタジオがすごいことになっています。
Celeina:この中でも一番お気に入りのものはありますか?

高橋:特にお気に入りなのはトレーナーなんですが、タグに「アトリエもりた」って書いてあるんです。当時、『AKIRA』が『ヤングマガジン』で連載していた時の懸賞で当たった人しか持っていないやつなんですよ。これは僕の中では価値があるんですけど、市場的に価値があるのはこっちで、値段がすごく高くなっています。
Celeina:緑色のボディーのTシャツなんですね。
高橋:全面プリントなんです。これは売っていたやつなんですが、XLサイズしかないということで海外ですごく人気なんですよ。それで値段も高騰していって、一時期50万円ぐらいになっていましたね。
Celeina:首元から肩まで全部プリントが入っていますね。Tシャツとか、全部しっかりとビニールでパッキングされて、シリカゲルも入っていて。

高橋:湿気が大敵なんです。
タカノ:お家はもっとすごいことになっているんですよね?
高橋:そうですね。専用の棚があって、そこに全部このパッキングしたやつがぎゅうぎゅうになっています。
タカノ:何枚ぐらい持ってらっしゃるんですか。
高橋:ちゃんと数えてないんですけど、全部で多分200枚ぐらい。
タカノ:全部『AKIRA』ですよ。すごいですよね。
Celeina:しかもTシャツの中でも、集めてらっしゃるものが公式のものという。
高橋:そうですね。僕はさっき言ったような懸賞で当たるやつとか、講談社が出していた大友克洋先生の描いた、アニメじゃなくて漫画の方の『AKIRA』のTシャツを集めるのが好きなんですよ。でも、映画のアニメ版のTシャツの方が数が多く出ているんです。
タカノ:公式で出回っているのはどれくらいなんですか?
高橋:ちゃんと数えられないんですけど、多分70種類ぐらいじゃないでしょうか。講談社から出ているやつは多分30弱ぐらいですかね。
タカノ:高橋さんはもう公式のものは全部コンプリートしたんですか?
高橋:いや、あと2枚なんです。昔の『ヤングマガジン』とかの切り抜きをかなり前にヤフオクに出している方がいて、それをそのまま引き継がせてもらったんです。それを見ていたら、トレーナーの情報があったんですが、今まで見たことがないんですよ。
Celeina:切り抜きにトレーナープレゼントって書いてありますね。
タカノ:これがどこかにあるはずだと。
高橋:どこかにあるはずなんですけど、色んなオークションでもどこでも見たことがないので、もう諦めかけています。
Celeina:年代がちょっと昔のものになってくると、SNSどころかもう雑誌でしか情報が手に入らないですから、切り抜きというのは大事な情報源ですね。
タカノ:J-WAVEを聴いている方で、何か情報知っている人がいるかもしれないですよ。
Celeina:白地に水色のプリントですか?
高橋:そうです。
タカノ:プレゼントで持っている方とか、情報を知っている方がいたらね。
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コレクションのTシャツは基本的に着る
Celeina:年表みたいなものもご持参くださいましたけど、これは高橋さんお手製の『AKIRA』Tシャツ年表ですか?
高橋:そうですね。
タカノ:1982年に連載開始で、1988年にアニメ映画公開ということで。縦にタイムラインがあるんですけれども、それに沿って、こんなTシャツが出ていたよというようなTシャツ年表になっています。こう見ると同じ『AKIRA』でも色んな切り口でデザインされていて面白いですね。色も沢山あって。
Celeina:この年表を自作されているというのに愛しか感じないですね。
タカノ:最高ですよ。
Celeina:そもそもになりますけれども、なんで『AKIRA』のTシャツを集め始めたんですか?
高橋:10何年前に、僕がよく行っていた居酒屋さんでバイトをしていた男の子が、裾がすり切れているボロッボロの『AKIRA』のTシャツを着ていたんですよ。それで「今『AKIRA』なんて」みたいなことを言いながらも、めちゃくちゃかっこいいなと思って。そこから僕も何枚かTシャツを持っていたんで、それを着ようと思ったんです。それで彼が着ていたやつが何なのかを探している間に、僕が持っているやつが全部偽物だったというのが分かって。それで本物が欲しいという風になってから、ヤフオクだったり古着屋さんだったりを巡って、あれば買いの繰り返しで、今みたいな感じですかね。
タカノ:何がきっかけになるのか分からないですね。ちなみに『AKIRA』と言えばなんですが、先月の「FIST BUMP」に大友克洋研究家の鈴木純也さんにお越しいただいたんですけれども(「大友克洋研究家」の鈴木淳也が目指すのは、漫画の世界の周期表のようなデータ基盤)、交流とかあったりするんですか?
高橋:あります。
タカノ:ありますか、やっぱり。
高橋:純也さんは僕の中でも神様みたいな存在なんです。データが全部頭の中に入っているような人なので、僕から連絡を取ったら、純也さんからも「君は『AKIRA』のTシャツだけを集めている人だね」って返事が来て、「1回会いましょうか」って会ってお酒を飲みました。
Celeina:そこではどんな話をしたんですか?
高橋:嬉しすぎて覚えてないです。でも『AKIRA』の話しかしてないですね。
タカノ:やっぱりそうなるんですね。鈴木さんは、研究家としてデータを集めるみたいな感じでしたけれども、高橋さんは収集家ということで。Tシャツをコレクトした後は、どういう風にTシャツと関わっているんでしょうか?
高橋:基本的には着ています。これは特別にずっと着てきてなかったやつなんですけど、ちょっと小さかったから、今日のためにダイエットして着られるようにしました(笑)。
タカノ:今日のためにおろしてきてくれたんですか。ありがとうございます。
高橋:もう結構ボロボロなんですよ。
タカノ:でもすごく状態が綺麗。
高橋:中にはめっちゃ汚いやつもあって、この白Tは特に気に入って着ているんですけど、首元とかもボロボロで、袖もちぎれてきているけど、今この状態が一番好きで気に入っています。

Celeina:かっこいいです。
タカノ:「アキラ」ってカタカナで書いてある白いロンTなんですけれども、このカタカナで書かれている「アキラ」がちょっとかすれちゃっていたりして、それが味があってすごくかっこいい。
高橋:そうなんです。僕はメインでスタイリストをやっているので、撮影の現場とかに行くんですが、コロナ禍では全員マスクをしていたじゃないですか。でも毎日『AKIRA』のTシャツを着ているので、「スタイリストはどこにいるの?」ってなったら、「あの『AKIRA』の人!」みたいに探しやすい感じになっていました。外国人のモデルさんとかとも、Tシャツを見て、「『AKIRA』なんだ」「いいよね、『AKIRA』」って交流が生まれたりとかもして。コミュニケーションの入口みたいにもなっているので、飾って眺めているわけではなくて、全部着ているという感じですね。
タカノ:ある種、『AKIRA』のTシャツが高橋さんにとってアイコンになっているというところが素晴らしいですよね。ということで、まだまだお話を聞いていきたいんですけれども、1曲挟みたいと思います。高橋さんにこの時間にラジオでみんなで一緒に聴きたい曲を選んでもらったんですが、どんな曲でしょうか?
高橋:畠山美由紀さんの”Diving into your mind”っていう曲です。僕がスタイリストを始めて、一番最初にCDジャケットのスタイリングを手掛けた曲なんです。
タカノ:メモリアルな一曲、聴いてみましょう。
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『AKIRA』Tシャツはアイデンティティの一部
Celeina:高橋さんの選曲で、畠山美由紀さんで”Diving into your mind”をお送りしています。高橋さんは『AKIRA』Tシャツの収集家でもありますけれども、本業は衣装デザイナーでスタイリストという。米津玄師さんのミュージックビデオ”POP SONG”の衣装デザインを始め、きゃりーぱみゅぱみゅさんの衣装デザインも手がけられていらっしゃいます。
タカノ:舞台の『ピーター・パン』にも。
高橋:はい、この間舞台は終わったんですけど、それも衣装デザインをしました。
タカノ:もうめちゃめちゃ幅広くですよね。
Celeina:衣装デザインの方が多いってことですかね? スタイリングより。
高橋:そうですね、衣装デザインが特に好きなんです。絵を描くのが好きなんで、当然大友克洋さんの絵を参考にしながら描いたりとか。
タカノ:なるほど。
Celeina:そこに繋がってくるわけですね。洋服のデザインを描くときに、大友さんの絵のタッチとかが参考になってくる?
高橋:参考になっていますね。キャストが決まってない人の衣装のデザインの場合は、金田とかキャラクターの顔を描いたりしています。

タカノ:だからもう本当、趣味の世界でもあるけど、お仕事にも直結しているというか。でも改めて、『AKIRA』ってずっと愛されているじゃないですか。なんでなんだろうと思っているんですが、高橋さんはどう思いますか?
高橋:僕は、思春期の頃からかっこいい漫画として『AKIRA』があって、そこから家の本棚からは絶対外せないし、もうずっとすぐ横にあるかっこいいカルチャーみたいな感じですかね。
タカノ:確かに漫画の装丁とかも、物としてすごくかっこよかったりする。
Celeina:チェックしなきゃ。
高橋:ぜひ。漫画の方から。
Celeina:漫画がオススメですか?
高橋:漫画、アニメ。
タカノ:ダブルチェックですね。
高橋:内容がちょっと違うんです。
Celeina:奥深いなぁ。そして最後に『AKIRA』Tシャツの魅力をちょっとお伺いしたいですね。
高橋:自分が着る時に、自分が信じているカルチャーを背負っているという部分もあるんです。好きなものをちゃんと自信を持って着られるというような、ユニフォーム的な感じというか。ちょっと難しいですね。
Celeina:でもTシャツって、自分が信じているものを、目に見えるわかりやすい形で体現できるような感覚になるんですか?
高橋:そうですね。ただ流行りのものを着ているということじゃなくて、ちゃんと好きなものを着ているということが大きいというか。
Celeina:アイデンティティの一部という感じですかね?
高橋:そうですね。
Celeina:さて「FIST BUMP」グータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達をご紹介してもらっているんですけれども、高橋さんがご紹介してくださるのはどんな方ですか?
高橋:映像作家の長添雅嗣さんを紹介したいと思っています。
Celeina:どういったご関係なんですか?
高橋:歳は全然違うんですけど、事務所が同じであったりとか大学が元々同じだったりするんです。
Celeina:一言で表すと。
高橋:センスの鬼。
タカノ:センスの鬼、楽しみです。明日は長添雅嗣さんをお迎えします。
Celeina:「FIST BUMP」今日は『AKIRA』Tシャツの収集家、高橋毅さんをお迎えしました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann