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コレクションのTシャツは基本的に着る
Celeina:年表みたいなものもご持参くださいましたけど、これは高橋さんお手製の『AKIRA』Tシャツ年表ですか?
高橋:そうですね。
タカノ:1982年に連載開始で、1988年にアニメ映画公開ということで。縦にタイムラインがあるんですけれども、それに沿って、こんなTシャツが出ていたよというようなTシャツ年表になっています。こう見ると同じ『AKIRA』でも色んな切り口でデザインされていて面白いですね。色も沢山あって。
Celeina:この年表を自作されているというのに愛しか感じないですね。
タカノ:最高ですよ。
Celeina:そもそもになりますけれども、なんで『AKIRA』のTシャツを集め始めたんですか?
高橋:10何年前に、僕がよく行っていた居酒屋さんでバイトをしていた男の子が、裾がすり切れているボロッボロの『AKIRA』のTシャツを着ていたんですよ。それで「今『AKIRA』なんて」みたいなことを言いながらも、めちゃくちゃかっこいいなと思って。そこから僕も何枚かTシャツを持っていたんで、それを着ようと思ったんです。それで彼が着ていたやつが何なのかを探している間に、僕が持っているやつが全部偽物だったというのが分かって。それで本物が欲しいという風になってから、ヤフオクだったり古着屋さんだったりを巡って、あれば買いの繰り返しで、今みたいな感じですかね。
タカノ:何がきっかけになるのか分からないですね。ちなみに『AKIRA』と言えばなんですが、先月の「FIST BUMP」に大友克洋研究家の鈴木純也さんにお越しいただいたんですけれども(「大友克洋研究家」の鈴木淳也が目指すのは、漫画の世界の周期表のようなデータ基盤)、交流とかあったりするんですか?
高橋:あります。
タカノ:ありますか、やっぱり。
高橋:純也さんは僕の中でも神様みたいな存在なんです。データが全部頭の中に入っているような人なので、僕から連絡を取ったら、純也さんからも「君は『AKIRA』のTシャツだけを集めている人だね」って返事が来て、「1回会いましょうか」って会ってお酒を飲みました。
Celeina:そこではどんな話をしたんですか?
高橋:嬉しすぎて覚えてないです。でも『AKIRA』の話しかしてないですね。
タカノ:やっぱりそうなるんですね。鈴木さんは、研究家としてデータを集めるみたいな感じでしたけれども、高橋さんは収集家ということで。Tシャツをコレクトした後は、どういう風にTシャツと関わっているんでしょうか?
高橋:基本的には着ています。これは特別にずっと着てきてなかったやつなんですけど、ちょっと小さかったから、今日のためにダイエットして着られるようにしました(笑)。
タカノ:今日のためにおろしてきてくれたんですか。ありがとうございます。
高橋:もう結構ボロボロなんですよ。
タカノ:でもすごく状態が綺麗。
高橋:中にはめっちゃ汚いやつもあって、この白Tは特に気に入って着ているんですけど、首元とかもボロボロで、袖もちぎれてきているけど、今この状態が一番好きで気に入っています。

Celeina:かっこいいです。
タカノ:「アキラ」ってカタカナで書いてある白いロンTなんですけれども、このカタカナで書かれている「アキラ」がちょっとかすれちゃっていたりして、それが味があってすごくかっこいい。
高橋:そうなんです。僕はメインでスタイリストをやっているので、撮影の現場とかに行くんですが、コロナ禍では全員マスクをしていたじゃないですか。でも毎日『AKIRA』のTシャツを着ているので、「スタイリストはどこにいるの?」ってなったら、「あの『AKIRA』の人!」みたいに探しやすい感じになっていました。外国人のモデルさんとかとも、Tシャツを見て、「『AKIRA』なんだ」「いいよね、『AKIRA』」って交流が生まれたりとかもして。コミュニケーションの入口みたいにもなっているので、飾って眺めているわけではなくて、全部着ているという感じですね。
タカノ:ある種、『AKIRA』のTシャツが高橋さんにとってアイコンになっているというところが素晴らしいですよね。ということで、まだまだお話を聞いていきたいんですけれども、1曲挟みたいと思います。高橋さんにこの時間にラジオでみんなで一緒に聴きたい曲を選んでもらったんですが、どんな曲でしょうか?
高橋:畠山美由紀さんの”Diving into your mind”っていう曲です。僕がスタイリストを始めて、一番最初にCDジャケットのスタイリングを手掛けた曲なんです。
タカノ:メモリアルな一曲、聴いてみましょう。