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『ガンダム ジークアクス』で庵野、鶴巻、榎戸が拡張する「宇宙世紀」

2025.4.15

#MOVIE

『フリクリ』『トップをねらえ2!』の鶴巻和哉と榎戸洋司による解釈

「GQuuuuuuX」編では、ジオンが勝利し、シャアが行方をくらました世界のとあるコロニーで暮らすアマテ・ユズリハの姿が描かれる。アマテは謎の少女ニャアンと出会ったことで、モビルスーツ同士の戦いであるクランバトルに身を投じ、ガンダムの声を聞く少年・シュウジとも運命的な出会いを果たす。「ポケモン」シリーズなどのキャラクターデザインで知られる竹によるかわいらしいキャラクターが、現代日本にも通じる意匠をほどこされたシリンダー型コロニーの都市で躍動する豊かなアニメーションは、従来のガンダム作品ともまた違った雰囲気を有し、現代の宇宙世紀ガンダムとしての印象を強く残す。

星街すいせいが歌う「もうどうなってもいいや」にのせて、アマテとニャアンが登場するエンディング映像は多数の2次創作を産んでいる

本作の監督を務めるのは、2000年のOVA『フリクリ』で知られる鶴巻和哉と榎戸洋司。思春期特有の言葉にできない鬱屈を、ハードなSF設定とスタイリッシュな映像表現で描いた『フリクリ』は、今もなお熱狂的なファンが多い。二人が携わった作品として「GQuuuuuuX」の展開を考える上では、ロボットものであり人気作の続編という立ち位置の『トップをねらえ2!』も重要だろう。人気作品の続編という立ち位置ではあるが、前作のスポ根アニメとロボット、そして美少女という前作の要素を大胆にアレンジし、鶴巻監督らしいビビッドな感情表現と榎戸らしいセンシティブな感覚でまとめ上げられている。なおかつ『トップをねらえ2!』は物語の後半で前作の設定を使った驚きの仕掛けを入れ込み、前作のエンディングともつなげるという荒業をやってのけた。

宇宙世紀0085年という年代設定から考えると、本作は「一年戦争でジオンが勝利した世界線でZガンダムをする」物語だと現時点では予想できる。しかし、『フリクリ』や『トップをねらえ2!』のテイストやテーマを考えれば、Zガンダムに登場する二つの勢力、エゥーゴとティターンズを反転させただけのストーリーにはならないことは容易に想像できる。むしろ前述した2作品、あるいは榎戸洋司が脚本を担当した『少女革命ウテナ』を思い返せば、思春期特有の万能感を特別な力と定義し、それが失われていく過程にこそフォーカスが当てられるのではと想像できる。アマテやシュウジのような少年少女たちのいつか失われる思春期が、ニュータイプという存在、あるいは「人類の魂を引っ張る」とされる地球の重力と繋がることで、宇宙世紀特有の諸概念に今までにない解釈が生みだされていくことが予感される。

半世紀近くの長きにわたり独自の発展を遂げてきたガンダムコンテンツ。『機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning』が上映開始一秒で宇宙世紀の歴史を急角度で分岐させたように、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』もまた、ガンダムコンテンツの歴史を大きく分岐させ、ますます広げていくことになるだろう。

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』

4月8日より 毎週火曜24時29分から
日テレ系30局ネットで放送
毎週水曜午前1時から
Prime Videoで国内最速配信

監督:鶴巻和哉
シリーズ構成:榎戸洋司
キャラクターデザイン:竹
メカニカルデザイン:山下いくと
原作:矢立 肇/富野由悠季
脚本:榎戸洋司/庵野秀明
制作:スタジオカラー/サンライズ
製作:バンダイナムコフィルムワークス/日本テレビ放送網

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