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お披露目となったHedigan’s
まだ音源も発表されてなく、今日がお披露目となったHedigan’sの初ライブにも圧倒された。メンバーは、河西”YONCE”洋介(Suchmos / Vo、Gt)、栗田将治(Glider、Merchant / Gt)、栗田祐輔(Glider / Key)本村拓磨(ゆうらん船 / Ba)、大内岳(Glimpse Group、AKOGARE、Burgundy、LAIKA DAY DREAM、The9Oz / Dr)。


Hedigan’sはロックバンドであり、ブルースバンドだった。ダブ調のサウンドで<説教くさいおっさんのルンバ>と歌われる曲もあった。全6曲、すべてオリジナルソング。「世俗まみれ」とは真反対にあるような、煩悩や傲慢な欲がない、ただただ音楽に捧げるかのような演奏が続く。最後の曲をやる前に「初めてライブをやって、どんな音があなたたちに届いているのかちょっとわからないんですけど、とにかく自分たちは自分勝手に楽しませてもらいました。ありがとう、Hedigan’sでした」とだけ、YONCEは言葉を残した。





ステージで鳴らされた音以外に情報は一切なく、誰が作詞を手がけているのかも明確ではないが、世間から「華やかな世界」と呼ばれる混沌とした場に一定期間身を置いたYONCEが、今ひとりの人間として何を大切にしながら生きたいのか、それが詰まっているように私には聴こえてきた。

YONCEの歌がこれまで以上に伸びやかで深みが増していることも感動的だった。最後の“論理はロンリー”は、清らかな轟音と大内によるシンバルとバスドラの連打が壮大に広がっていく中で「生きるとは」「死とは」「幸福とは」にまつわる思考のめぐりが歌われる一曲。HSU(Suchmos)の顔が浮かんできたのは私の身勝手な感覚だろうか。音が鳴り止んだあと、一瞬動けなくなるくらいの放心状態になるほど、音楽と魂が剥き出しのまま差し出されるようなライブだった。
