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将棋×リーガルドラマ『法廷のドラゴン』で交じり合う「次の一手」

2025.2.21

#MOVIE

©「法廷のドラゴン」製作委員会
©「法廷のドラゴン」製作委員会

将棋×リーガルドラマという組み合わせの妙

事件を棋譜になぞらえて説明する竜美©「法廷のドラゴン」製作委員会
事件を棋譜になぞらえて説明する竜美©「法廷のドラゴン」製作委員会

そして、将棋×リーガルドラマという画期的な組み合わせの妙である。竜美が読み解く事件の数々を見ていると、心なしか将棋に詳しくなれる気がする。虎太郎と同じく全く将棋に詳しくない筆者であるが、彼女が言う「次の一手」という言葉とリーガルドラマの相性の良さだけはなんとなくわかる。2人が働く歩田法律事務所は、常に大きな事件を扱う訳ではない。でも、結果的に、依頼人の人生の「次の一手」を指す手助けをする。さらにはそれが、若い竜美と虎太郎の人生の「次の一手」を指し示す手がかりにもなる。なんでも将棋に繋げようとする竜美に戸惑い気味だった虎太郎が第1話の後半で、自ら一歩、歩み寄り「僕ももう少し探してみようと思う。絹子(松坂慶子)さんをこれ以上傷つけずに笑顔を取り戻せる、その……一手を」と提案することで、長考し過ぎて「穴熊に入っちゃった」竜美を外の世界に連れ出したように。第3話で、竜美が松篠妙子(入山法子)に「ようやく次の一手を指せるのではありませんか?」と語り掛けるように。

竜美と虎太郎は、持ち前の優しさで依頼人の心ばかりが、人生まで動かしていく。第1話における盗まれてしまった絹子の思い出の小物入れは、結果的に香坂絹子の息子夫婦の離婚危機を救ったし、第2話の「保温装置のプラグを抜いてしまった」事件の解決は、瀬山玲子(山口紗弥加)の止まっていた時間を動かした。刑事事件を扱った第3話は、互いを思い過ぎた人々の間に起きた悲劇の話で、最後に描かれたのは夫の家に縛られ続けた女性・妙子の背中を押す竜美と虎太郎の姿だった。第4話は、アパートで起こる一騒動を通して一見コワモテの郷田が持つ優しさに触れる回だったが、その騒動解決の結果は郷田とアパートの大家・海老原徹一(ベンガル)のこれからの良好な関係を想像させるまでに至った。そして第5話の和菓子屋の店主・熊倉英和(角野卓造)と息子・和輝(草川拓弥)親子の葛藤は、「父を越える・越えない関係なく、自分自身の信条を貫けばいい」という想いに繋がり、それは、優秀な弁護士だった父・羊次郎(藤井隆)と自分を比較し、心が挫けそうになっていた虎太郎自身をも動かした。

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