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青春かるたドラマ『ちはやふる-めぐり-』が描く、令和の高校生と大人たち

2025.8.13

#MOVIE

©日本テレビ
©日本テレビ

競技かるたに青春をかける高校生たちの姿を描いた『ちはやふる』。末次由紀による累計発行部数2900万部越えの大ヒット漫画は、3部作の実写映画も制作され大ヒットを記録した。

その映画3部作の10年後の物語を描いたオリジナルドラマ『ちはやふる-めぐり-』(日本テレビ系)が、いま話題となっている。

映画で監督・脚本を務めた小泉徳宏がショーランナーを務め、映画に出演した上白石萌音や矢本悠馬、森永悠希、坂口涼太郎らが10年を経た同じ役として出演し、後半には、広瀬すずらの出演も予定されている本作。

次世代の俳優とスタッフも揃った新たな青春ドラマについて、ドラマ映画ライターの古澤椋子がレビューする。


※本記事にはドラマの内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

燦然と輝く令和の青春ドラマ

梅園高校競技かるた部のメンバー。左から村田千江莉(嵐莉菜)、与野草太(山時聡真)、藍沢めぐる(當真あみ)、奥山春馬(高村佳偉人)、白野風希(齋藤潤)©日本テレビ
梅園高校競技かるた部のメンバー。左から村田千江莉(嵐莉菜)、与野草太(山時聡真)、藍沢めぐる(當真あみ)、奥山春馬(高村佳偉人)、白野風希(齋藤潤)©日本テレビ

ここまで真正面から青春を描くドラマを見たのはいつ以来だろうか。『ちはやふる-めぐり-』を見ていると、胸にポッと赤い炎が灯るのを感じる。思えば、近年は「学園ドラマ」と銘打っていても、大人に向けられたドラマが多かった。『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)や『御上先生』(TBS系)など、教室を社会の縮図として描くことで、社会的なテーマを際立たせる作品の数々。そんな時代に、『ちはやふる-めぐり-』は、主に、大人に対してではなく登場人物たちと同じ現役の学生たちに語りかけているように感じられる。だからこそ、大人となった私たちにも燦然と輝いて見えるのかもしれない。

『ちはやふる-めぐり-』は、大人には、もう戻れない青春の輝きを、現役の学生には、これから目指せる今この瞬間の情熱を見せてくれている。

青春を選べなかった高校生たちと「競技かるた」

中学受験の失敗から青春と距離を取っていた藍沢めぐる(當真あみ)©日本テレビ
中学受験の失敗から青春と距離を取っていた藍沢めぐる(當真あみ)©日本テレビ

本作は、2016年、2018年に公開された映画3部作『ちはやふる-上の句・下の句・結び-』の続編となる完全オリジナルドラマであり、末次由紀による原作漫画にも描かれていない『ちはやふる』の10年後が描かれている。平成から令和になり、早7年。2020年から3年ほどは、コロナ禍という未曾有の事態に全世界が巻き込まれた。原作と映画の『ちはやふる』が描いた平成の高校生の価値観とは、違った価値観を持って当然の令和の高校生の姿が、『ちはやふる-めぐり-』では、リアルに表現されている。

梅園高校に通う主人公・藍沢めぐる(當真あみ)は、中学受験の失敗とそれにまつわる両親の会話をきっかけに、数十年単位の遠い未来を見据えるリアリストとなった女子高生。「青春」など、今、この瞬間の情熱を味わう贅沢品だ、として、距離をとっていた。めぐると同じクラスの白野風希(齋藤潤)は、ボクシングジムを経営している父・真人(高橋努)と共にボクシングに邁進していたが、ふとしたきっかけで迷いが生まれ、自分が進むべき道を見失っていた。

何が起こるかわからない時代だからこそ、遠くの未来を見据えた積み立て投資をしたり、親が敷いたレールを進んだりという令和の高校生ならではの人生への向き合い方。そんな、青春を選べなかった彼女たちが、競技かるたという畳の上の格闘技と出会い心を燃やす姿には、いっそう胸を打たれる。

一方で、第3話では、平成と変わらない性差による葛藤も描かれた。リトルリーグ時代から野球一筋で名ピッチャーだった村田千江莉(嵐莉菜)は、高校に入っても男子に混じって野球を続ける中で、体力面の性差に悩まされ、また、女子禁制とも呼べる高校野球の制度により夢を絶たれてしまう。そんな千江莉を救ったのは、男女の垣根なく試合が行われる競技かるただった。

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