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ceroは「ライブ」を通じて、いかに音楽を深化させてきたか。『Live O Rec』を語る

2024.9.11

#MUSIC

なぜ音楽家たちは「ライブ」をするのだろう。なぜ私たちは「ライブ」に足を運ぶのだろう。そのとき、その場所で起こる奇跡、あるいは事件を、その唯一無二の「時間」を複製することは、今後どれだけ録音技術、映像技術が発達してもきっと不可能だ。ceroが作り上げたライブ作品『Live O Rec』を聴くと、過去・現在・未来を自由に行き来し、あらゆる可能性を内包する、その「時間」について考えさせられる。

『Live O Rec』という作品は、2日間にわたって行われたライブ録音を下地にしているが、いわゆる「実況録音」的なものではない。編集、録り直し、オーバーダビング、あらゆる音響操作が積極的に施されたこの作品には、いくつもの時間と空間が混在している。しかし、それでいてceroの三人の意識は、あの日、あのとき、あの場所の「ライブ」に収斂しており、それが作品としての独特な手触りを担保している。

ドキュメンタリーと呼ぶには、その制作にはあまりに制約がなく、現実を曖昧にすることによって生み出された作品であるが、モキュメンタリー的とも言えない。音像の中でゆらゆらと揺らめく時間、現実は、不思議なリアリティーを感じさせる。

このインタビューはそんな『Live O Rec』の種明かしを目的としたものではない。取材執筆はceroのライブを初期から見守り、ときにはツアーの地方公演にまで足を運ぶライターの松永良平。この文章が、作品に向き合う一人ひとりがそれぞれに解釈する手がかりになれば、と願って。

※高城晶平の「高」は「はしご高」が正式表記となります

cero(セロ) 左から:荒内佑、高城晶平、橋本翼
2004年結成。3人それぞれが作曲、アレンジ、プロデュースを手がけ、サポートメンバーを加えた編成でのライブ、楽曲制作においてコンダクトを執っている。今後のリリース、ライブが常に注目される音楽的快楽とストーリーテリングの巧みさを併せ持った、東京のバンドである。2023年5月、5作目となるアルバム『e o』をリリース。2024年9月、初のライブ音源作品『Live O Rec』を発表した。

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