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『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』に描かれた新しいヒーロー像とは

2025.2.22

#MOVIE

2月14日(金)から劇場公開中の映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の最新作にして、『キャプテン・アメリカ』シリーズとしては4作目となる。

監督・共同脚本に『ルース・エドガー』(2019年)のジュリアス・オナー。サイドワインダー役に『ブレイキング・バッド』(2008〜2013年)などで知られるジャンカルロ・エスポジートが、そして、サディアス・ロス大統領役をハリソン・フォードが務めたことでも話題になった。

長年サム・ウィルソンを演じてきたアンソニー・マッキーが、2代目キャプテン・アメリカとして待望の映画主演を果たした本作。その新しいキャプテン・アメリカ像について考察する。

※以下、映画本編の内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

キャプテン・アメリカになる過程と人種差別

『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』は、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014年)同様、1970年代政治スリラーの要素を取り入れたスーパーヒーロー映画だ。

2代目キャプテン・アメリカことサム・ウィルソン(アンソニー・マッキー)

物語は、「共生」のスローガンを掲げるロス大統領のスピーチから始まる。初代キャプテン・アメリカのスティーブ・ロジャースから盾を受け継ぎ、新たなキャップとなったサム・ウィルソンは、ホワイトハウスに招かれる。ヒーローたちと因縁のあったロスは和解し協力しようとするものの、突如、彼を狙った襲撃事件が勃発。事件はしだいに国際的な対立へと発展してしまう。この混乱を解決するために真相を探るサムだったが、ある人物がしかける大きな陰謀へと巻き込まれていく。

この映画の前日譚にあたるドラマシリーズ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021年)は、なぜサムがキャップになるのか、その理由と過程、葛藤を描いていた。そこで強調されていたのが、人種差別の歴史と現状だった。

サムは、アフリカ系アメリカ人である自分がキャプテン・アメリカの盾を持つことへの偏見を自覚しながら、それでも引き受ける理由を説く。「俺には超人血清も金髪も青い目もない。俺が持つ力は人を信じる心だけ。よりよい世界を造れると」というドラマ最終話の台詞が印象的だ。

そして今作では、マーベル・スタジオ公式によるキャッチコピーにもある通り、「シンボル」になった後のサム・ウィルソンの姿、新しいキャプテン・アメリカ像が示される。

「黒人がキャプテン・アメリカになるというのはどういうことなのか」

パンフレットに記載されたインタビューで、ジュリアス・オナー監督は、新しいキャップを描くにあたり、本作のテーマが「黒人がキャプテン・アメリカになるというのはどういうことなのか」だと発言している。しかし、作中では、人種差別についての描写は特にない。

(左から)ホアキン・トレス(ダニー・ラミレス)とサム

スーツや盾の力を駆使してボロボロになりながらも闘うサム。初代キャプテン・アメリカと自らを比較して苦悩し、スーパーパワーを持たない自分が選ばれたのは人選ミスだったとまで吐露する。このように能力を持たない自己への悩みはあるものの、ドラマシリーズで描かれたアフリカ系アメリカ人としての葛藤は言及されない。

ドラマとは異なり、人種について切り込んだ表現は、大作ヒーロー映画では過剰だと判断されたのかもしれない。同じパンフレットのインタビューでは、脚本のマルコム・スペルマンが次のように述べている。

映画に過剰にテーマを押し込むと、逆にその物語が壊れてしまうこともあるんです。だから今回はそういったものを一切持ち込まず、この作品が自然にあるべき姿になることを目指しました。

映画パンフレットより

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