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江﨑文武が語る、ピアノとの多種多様な関わり方。「上手く弾くことが全てじゃない」

2025.4.1

ヤマハミュージックメンバーズプラス

#PR #MUSIC

ピアノの「いい音」に向き合うようになった

─以前インタビューで、「(ファーストアルバムである)『Sphere』を作った頃は『どのマイクで録ろうか』みたいなことは全然考えられなかったけど、みんなといろいろ作り続けてきたおかげでできることが広がって、鍵盤楽器のいろんな色を引き出せるようになった実感もすごくあります」とおっしゃっていました(※)。今回、自分の出したい音をより解像度高く具現化できた手応えはありましたか?

※WONKインタビュー|久保田利伸ら多彩なアーティストと描いた「Shades of」

江﨑:確実にありますね。WONKを結成したばかりの頃は、まだピアノの音色について深く考えたことがなかったんです。ジャズピアニストとして、そこにあるピアノを弾くのが当たり前の環境だったので、「自分の音を作り込む」みたいな意識はなかった。でもレコーディングの経験を重ねていくうち、「こういう楽器を弾きたい」「こういう音を作りたい」というイメージがどんどん明確になってきて。

『Shade of』は、曲によってアップライト、グランドピアノ、打ち込みなどを使い分け、音作りの意図を整理しながら取り組みました。ずっとお世話になっているSTUDIO Dedeのピアノも、自分仕様にフェルトを張り替えてもらったりして(笑)。以前は「調律さえちゃんとしていればいい」と思って弾いていましたが、細かいノイズなどのテクスチャーが「いい音」に繋がる場合があると気づいたんですよね。ピアノという楽器にどう向き合うか、そこに対する意識は、以前とはまったく違うと思います。

─ピアノの音色や演奏以外の音響的な部分は、今日のヤマハミュージックメンバーズプラス会員向け動画の撮影でも名前が挙がっていたニルス・フラームやオーラヴル・アルナルズの影響はありますか?

江﨑:彼らは演奏家であり作曲家でもありますが、単に弾くだけでなく、録音芸術として、音の響きまで作り込む姿勢に感銘を受けています。そういえば、先日出演した『THE PIANO ERA 2024』の主催の方は「毎回、変わり者のピアニストばかり集めている」と言っていて。そこに出演したアーティストも、ほぼ全員がプレイヤーでありサウンドデザイナーでもあったんです。中には、ヨーロッパから金属製のプレートマイクを持ち込み、調律の段階でピアノ内部に仕込んで録る試みをしている人もいました。

日本のコンサートホールは、決まった調律師がピアノを最高の状態に整えることに重きを置いているので、音響的なアプローチがしにくいのが現状です。ピアノは「美しく正しく弾くもの」という固定観念がまだまだ根強いですが、僕はもっと自由な発想が広がれば、表現の可能性もさらに開かれていくんじゃないかと思っているんです。

─そういう音色やサウンドプロダクションの部分に意識的になったのは、ソロ活動の影響が大きかったですか?

江﨑:いや、むしろバンドやこれまで客演として関わってきたJ-POPのアーティストたちの影響が大きいですね。彼らに触発され、ピアノの音色について深く考えるようになった結果、「ソロでやってみたい」と思うようになった、という流れでした。なので、もし自分だけで活動していたら、今でも単に鍵盤と向き合うだけのプレイヤーだったかもしれない。

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