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買える展覧会『AWT FOCUS』速報レポート アートをちょっと近い距離感で

2024.11.6

#ART

会場は、日本最古の私立美術館である大倉集古館。アジアのエッセンスが詰まった建築は本展のテーマにぴったり。

第4章「自然界の循環とエネルギー」

原田裕規『Waiting for』

第4章に入ると、映像を使った作品が3点ほど登場する。いずれも自然をテーマにしつつ捻りの効いた趣向だったが、ここでは原田裕規『Waiting for』を挙げたい。3つのモニターには、生物の気配のない荒涼とした自然風景が映し出されている。これらは生命の生まれる前、もしくは死に絶えた後の世界をイメージして制作されたCGアニメーションである。そしてどこまでも静かな映像に合わせて、作家自身が現存する地球上のすべての動物の俗名を淡々と読み上げていく。その数は2万種以上、読み上げは33時間19分にわたって続くという。誰も答えない出欠確認に、背筋が寒くなった。

会場風景

最後の展示エリアでは、近年再評価が進んでいる「もの派」(※)の彫刻家、菅木志雄の作品を見ることができる(右手壁面)。それに呼応するように、左手にはパプアニューギニア出身のタロイ・ハヴィニによる壁掛けの彫刻が展示されている。本作は作家の属するハコー族の人々との共同制作によって生まれた、サトウキビで構成された立体作品だ。壁に映る影もドラマチックで、自宅に飾るところをぼんやりと妄想してしまった。

※編注:1960年代後半から1970年代前半に、自然素材と人工物をそのまま用いて作品を制作した作家のグループ。

なおこの『AWT FOCUS』の出展作品はすべて購入可能だが、もちろん値札が付いているわけではない。会場に案内スタッフが「ASK ME」の札を持って常駐しているので、これを機にアートコレクターを目指そうという場合は、一歩踏み出して声かけを。

「買える展覧会」『AWT FOCUS』は、『アートウィーク東京』開催期間の2024年11月7日(木)から11月10日(日)に開催。短期間なのがもったいなく感じられるほどの骨太の展覧会だ。アートファンはぜひ集われたし。

AWT FOCUS『大地と風と火と:アジアから想像する未来』会場:大倉集古館

2023年に始まった「AWT FOCUS」は、美術館での作品鑑賞とギャラリーでの作品購⼊というふたつの体験を掛け合わせた「買える展覧会」。展示は毎年異なるテーマのもとでキュレーションされ、出展作品はすべて購入できる。

第2回となる2024年の監修を務めるのは、森美術館館長であり国立アートリサーチセンター長も兼任する片岡真実。「大地と風と火と:アジアから想像する未来」と題し、政治や経済など人為的な分類や力による統治ではなく、自然の摂理や不可視のエネルギーといった観点から世界を見つめるアジア的世界観を起点に、多様性が共存する未来を考える。

会期:2024年11月7日(木)〜11月10日(日)
住所:大倉集古館 1・2階 / 港区虎ノ門2-10-3
URL:https://www.artweektokyo.com/focus/

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