メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

「高校生の妊娠」を描いたドラマ『あの子の子ども』は新世代の青春ドラマだ

2024.9.17

#MOVIE

©カンテレ

相互に救い合う子どもと大人の関係の対等さ

©カンテレ
©カンテレ

最後に新しさを感じたのは、子どもと大人の関係の対等さ。本来、子どもは常に大人に保護される対象だが、本作に登場する大人たちは、子どもである福と宝の妊娠の事実を頭ごなしに叱ることはしない。むしろ、それぞれ自分たちの至らなさを悔やむ。何もできないであろう子どもたちを自分たちが守らなければと必死になる。しかし、福と宝が大人たちの思惑を軽々と越えて思わぬところまで走っていくことで、逆に大人が救われてしまう。

例えば、第8話において、宝の母・直実(美村里江)と福が中絶について対話する時。未来の福を気遣い、「私に言われたからって思えばいいから」と言う直実に対し、直実のかつての中絶経験を聞いた福は、過去の直実の苦しみを慮り、「もしまた、苦しくなった時は、私です。私がお願いしたからって思ってください。宝を生んでくれてありがとうございました」と返す。第11話における宝と、福の母・晴美(石田ひかり)のやりとりもそうだ。現在の福と宝の腹の中の子どもを巡る一連の流れとも重なる、2人の幼少期の重要なエピソードである、福(奈良澪)が拾った子猫の引き取り先を2人で捜し歩いた話の背景にあった、晴美の「母親として投げかけた言葉」の失敗。後悔して追いかけた果てに見た、福が宝とともに自力で飼い主を見つける姿が、現在に至るまでの晴美の宝への信頼に繋がっている。

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS