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登場人物一人ひとりの人生に光を当てるインタビュー

続いて新しさを感じたのは、主人公2人の物語だけに特化せず、登場人物一人ひとりの人生に光を当てたこととその形式。各話の冒頭においては、登場人物たちが各話で描かれる時期にどう思っていたかがインタビュー形式で描かれる。福と宝だけでなく、それぞれの母や兄、友人が、福や宝に抱いていた想いが明かされるとともに、挿入される回想を通して、それぞれの人生の物語を垣間見ることもできる。

特に、宝の部活仲間・笹部隼人(前田旺志郎)や、福の友人・矢沢望(茅島みずき)、矢沢を好きな飯田智宏(河野純喜)が抱いているそれぞれに対する想いの強さは、福と宝の世界は決して2人だけで成立しているのではないことを視聴者に思い出させるとともに、2人が想いを貫くことで危うくなってしまう大切な日常もあることを強く感じさせたりもする。また、福の兄・幸(野村康太)のユニークなキャラクターが川上家の救いになっていたり、飯田の真っ直ぐな矢沢への愛が学校パートを温かく包んでいたり、担任教師の沖田と保健室の先生・足立典子(菊池亜希子)のやりとりが教員たちの人柄を垣間見せていたりと、本筋ではないところにこそ、本作の魅力があるとも言える。