INDEX
「今まで観たことのない何か」から受け取る問い
アンコールでは渋谷による、おそらく即興のピアノ演奏とオルタ4の共演、および本日2回目となる“Scary Beauty”のピアノ+オルタ4の歌唱バージョンを披露した。渋谷とオルタ4が互いに見つめ合う様子がスクリーンに投影される。この瞬間、眼の前で繰り広げられている、ここまで進化したオルタ4と人間による共演を受けて、私たちがどのように感じるのか、この先の未来をどう想像するのかという鮮烈な問いを突きつけられるように感じた。現時点で既に、アンドロイドは生成AIを用いるから先進的ですごいのだと評価されるフェーズを通り越している。あるいは今後発表されるクリエイティブを目の当たりにし、アンドロイドオペラがどれだけの達成ができていたのか、事後的にわかるような作品なのかもしれない。


アンドロイドオペラについて、あるいはAIやロボットを活用したクリエイティブのあり方について、ウェブ上で数多くの関係者インタビューや対談記事が公開されており、本稿を読んで気になった方はぜひ検索してみてほしい。ただ一方で強く指摘しておきたいのは、難しい専門知識がなければ楽しめない作品では全くないということだ。渋谷が2012年に発表したボーカロイドオペラ『THE END』でも、初音ミクファンだからということで鑑賞し打ちのめされた観客が大勢いた。
「今まで観たことのない何かに出会いたい」と感じる人は、渋谷による次のコンサートには足を運ぶべきだと断言できる。
Android Opera TOKYO – MIRROR/Super Angels excerpts.
日時:2024年6月18日(火)開場18時、開演19時
会場:恵比寿ガーデンホール(〒153-0062 東京都目黒区三田1丁目13)
【参加アーティスト】
第一部 Super Angels excerpts.
コンセプト、作曲、ピアノ、エレクトロニクス:渋谷慶一郎
ヴォーカル:アンドロイド・オルタ4
コーラス:ホワイトハンドコーラスNIPPON
オーケストラ:Android Opera TOKYO Orchestra(コンサートマスター 成田達輝)
アンドロイド プログラミング:今井慎太郎
映像:岸裕真
衣装(ホワイトハンドコーラスNIPPON):HATRA
第二部 Android Opera MIRROR
コンセプト、作曲、ピアノ、エレクトロニクス:渋谷慶一郎
ヴォーカル:アンドロイド・オルタ4
声明:高野山声明(山本泰弘、柏原大弘、谷朋信、亀谷匠英)
オーケストラ:Android Opera TOKYO Orchestra(コンサートマスター 成田達輝)
映像:Justine Emard
アンドロイド プログラミング:今井慎太郎
主催:アタック・トーキョー株式会社
共催:大阪芸術大学
協力:テレビ朝⽇
アンドロイド特別協力:大阪芸術大学アートサイエンス学科
制作協力:一般社団法人コミュニケーション・デザイン・センター、Dentsu Lab Tokyo、株式会社フレックス
企画制作・運営:アタック・トーキョー株式会社
特別協賛:PwCコンサルティング合同会社
協賛:株式会社 ポーラ、株式会社ソウワ・ディライト
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】