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渋谷慶一郎がアンドロイドオペラで示した、人類が消滅しても鳴り響く音楽

2024.7.2

#MUSIC

©︎ATAK Photo by Kenji Agata

人類が消滅しても鳴り響く音楽

作中で3回設けられたレチタティーヴォ(オペラの物語や状況を説明する、朗読のように歌われるパート)の1回目に入る前、オルタ4が本作のコンセプトを説明するMCタイムが設けられたのだが、そこで突如「この公演をもって私はしばし皆さんの前から姿を消すでしょう」と告げられる。しばらくコンサートの予定が無いというだけなのか、あるいは「オルタ5」にバージョンアップする前触れなのか、結局最後まで詳しい説明はなされなかったが、「ですがあまりしんみりとせず、1曲ごとに大きな拍手をしてもらえると嬉しいです」と話し、観客からの笑いも取っていた。

©︎ATAK Photo by Kenshu Shintsubo

このレチタティーヴォは、オルタ4が声明の旋律をリアルタイムで解析し、即興的にメロディを生成して歌う演目となっている。声明の音楽や唱えるテキストは1200年前から一切変わっていないこともあり、GPTが事前に学習し、対になるように生成しているのだという。オルタは音を聴き取りながら、全身をシンセサイザーのようにモジュレートさせることで指や上半身を動かし、表情を変える。電子音のノイズ、声明の強烈な倍音がホールを包み込むなか、囁きのようにも産声のようにも感じられるオルタ4の歌声が重なり合う。たとえ人類が消滅しても発電さえできれば永久に鳴り響くかもしれない「世界の終わりの後の音楽」に観客たちは聴き入った。

©︎ATAK Photo by Kenshu Shintsubo
©︎ATAK Photo by Kenshu Shintsubo
©︎ATAK Photo by Kenshu Shintsubo

その他にも映画『ミッドナイトスワン』主題曲の“Midnight Swan”や、アンドロイドが歌唱する外部提供曲“I come from the Moon”(GUCCIのショートフィルム『Kaguya by Gucci』使用曲)のアンドロイドオペラバージョン、“BORDERLINE”(渋谷の公共地下空間を使用した文化プロジェクトの一環として制作)などを演奏し、あっという間の全11曲が終了した。

©︎ATAK Photo by Kenshu Shintsubo
©︎ATAK Photo by Kenshu Shintsubo

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