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空山基作・草薙素子をモデルにした「未来の身体」
さて、通常のアニメ原画展ならここで鑑賞レポートが終わるところだが、本展にはもうひとつの大きな展示の柱がある。『攻殻機動隊』の世界にインスパイアされた、作品愛あふれるアーティストたちによるコラボレーションアートの展示である。

中でもとりわけ存在感を放っているのは、現代美術家・空山基(そらやまはじめ)による世界初公開の新作彫像『Sexy Robot_The Ghost in the Shell type1』だ。本作は「未来の身体」をコンセプトとして、「攻殻機動隊」の主人公・草薙素子をモデルに制作されたものだという。
空山基は1970年代からロボットの女性像を描き、人体と機械の境界や美学を追求してきた作家だ(ちなみに、Aerosmithのアルバムジャケットやロボット犬・AIBOのデザインでも知られる)。『攻殻機動隊』原作者の士郎正宗とは往復書簡を送り合うほどの親交があったそうで、2026年公開の新作アニメでもタイトルロゴのデザインで制作に携わっている。

アルミニウムやABS樹脂、銀鏡塗装などを用いて生み出されたつややかな身体は、とにかく眩しい。強い反射光を纏った金属の肌は、確かにそこにいるのに決して触れられないような、不思議な感覚を呼び起こす。未知ゆえの神々しさがある一方で、理想的なカーブを描く肢体は言い逃れようなくエロチックでもあり……神像をいやらしい目で見てしまったような気まずい気分になるが、作家は昔のインタビューで「おそれ多い人はセクシー」だと語っているから、この感情はまさに作家の思惑通りなのかもしれない。