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女性は常に戦いを強いられている。だからこそ生まれるドラマ。
—蓬莱さんは本作に寄せて、「女性は否応なく闘わなければならないものが多いと常々感じている」「吉高由里子さんには闘いから逃げない強さとしなやかな明るさを勝手に感じています」とコメントされています。具体的に、女性はどのような戦いを強いられていると感じていらっしゃいますか?
蓬莱:まずは、男性社会との戦いですよね。女性は常に機嫌良くいなければならないと言われたり、美醜のことで差別されたり。そういった環境の中で自分の居場所やアイデンティティを見つけないといけない。そういった社会に対して、女性たちは様々な方法で戦っていらっしゃるのではと感じています。吉高さんは戦いからも逃げずに、かといってかたくなりすぎずしなやかで。そこが大きな魅力ですよね。
吉高:のらりくらりやっているやつだと思われているのかな(笑)。わかりやすい男尊女卑を目の当たりにしている世代ではないと感じていますが、女性として戦っている実感はやっぱりあります。男性も女性とは異なる戦いを強いられていると思うので、男女のどっちが恵まれているのかはわからないですけどね。難しいですね。人生後半は男だったら楽しいのかなと感じる反面、夫が亡くなってからの女性でキラキラしている方もいますし。

蓬莱:母親が三姉妹で、僕が子どもの頃はよく集まっていたんです。延々と会話はしているんだけど、お互いの話は全く聞いていない。その凄まじい勢いみたいなのは、女性ならではじゃないですか?
—友人同士の会話でもよくありますよね。みんな好きなことばかり話している。
吉高:たしかに、女性同士の友情って独特で。一種の恋愛関係のような、もっと言えば依存状態のようですよね。女友達との関係性の中で、今の自分の立ち位置を確かめるみたいなこともありますし。そうやって、友情を確かめようとすればするほどどんどん関係がいびつになっていってしまいますよね。
—本作でも自分が友情だと感じていたものが、そうではなかったのかもしれないというところから物語が展開していきます。
吉高:そうそう。「あれ、私あの子と友達だったはずなのに、お別れの会に呼ばれていない」という衝撃から始まります。とくにまだ精神年齢が低いときは、仲良くしている友人を自分の承認欲求を満たすために使ってしまうこともあるから、友情って本当難しいですよね。

—本作ではさらにSNSがからんできますね。
蓬莱:SNSって、それこそ承認欲求を満たすツールとしては優れていますよね。現実の自分とは異なる自分を作り出せるから、依存性も高い。現代社会を描くなら、皆が手放さなくなっているSNSを盛り込みたかったし、SNSがきっかけで生まれてしまった苦しみに対してどう抗うのか、そして向き合っていくのかというところも盛り込むつもりです。
吉高:自分の学生時代にSNSがなくて良かったなぁってつくづく思いますね。mixiはありましたけど、多感な時にXやInstagramがあったらどうなっていたんだろうってぞっとします。