メインコンテンツまでスキップ
NEWS EVENT SPECIAL SERIES

トランスジェンダーとして子育てにも奮闘中の杉山文野が語る東京レインボープライドの10年

2023.4.19

#OTHER

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。4月10日は、NPO法人・東京レインボープライドの共同代表理事である杉山文野(すぎやま・ふみの)さんが出演。日本フェンシング協会やJOCの理事も務めるほか、日本初の渋谷区・同性パートナーシップ制度制定に関わり、現在は父として子育てにも奮闘中の杉山さんに、今年、11回目を迎える『東京レインボープライド』のこれまでとこれからについて伺いました。

「変わるまで、続ける」――『東京レインボープライド2023』までの歩み

タカノ(MC):東京レインボープライド、今年も4月22日からの開催ですけれども、改めて、こちらを立ち上げたきっかけから伺ってもいいですか?

杉山:プライドパレードというのは、自分の性のありかたに恥じることなく誇りを持って生きていきましょうということで、1970年にアメリカでスタートして、現在、世界中で行われているムーブメントです。日本でも、1994年に初めて開催して、そこから開催できる年もあれば、できない年もあるということを繰り返してきました。こういったものを継続的に開催できるようにしようということで立ち上がったのが任意団体の東京レインボープライドで、2012年からこれまで毎年開催しています。

タカノ:はじめて10年ぐらいになる。

杉山:そうです。今年で12回目ですね。来年は、日本のパレードが始まって、ちょうど30周年になります。

Celeina(MC):楽しみですね。2012年の開催から10年ほど経ちましたけれども、ここ10年、日本で参加される方の意識や思いに変化を感じられていますか?

杉山:そうですね。10年前はLGBTなんて言葉の認知度もほとんど無いときでしたから、そこから考えると、一般常識化してきたかなと。ただ、言葉の認知は上がったんですが、まだ身近に感じられない、自分とは関係ないと思われてる方がまだまだ多いと感じますし、一番進まないのは法整備なんですね。例えば、全ての国民は皆平等にって言いながら、結婚できる人とできない人がいる。そういったことがあると、当事者の生活は変わらないので、意識はだいぶ変わってきたけれど、ルールを変えるまでは至ってないのかなと。

Celeina:みんなで声を上げていく必要がありますね。

タカノ:こちら、参加される方とお話する機会があると思うんですが、杉山さんの中で印象に残る言葉などあれば教えてください。

杉山:一番印象的なのは、みんな「楽しい」と言ってくれるんですよね。自分は当事者じゃないけど行ってみたら、本当に楽しかった、いろんなことを知れたっていう人もいますし。人によっては、こういうところに来ることで、自分が当事者ってバレたらどうしようとか、1人で行けるのかな、なんていう方も、足を運んでみたら楽しいし、自分が独りじゃないんだっていうことを感じられて、すごく嬉しかったと言ってくださる方も多いですし。

最近は家族連れも多くて、LGBTQの当事者がお子さんを連れてくるケースもあります。「アライ」と言われる、当事者ではないけれども、積極的に応援してますよという方が、学校ではなかなか教えてくれないけど、自分の子供たちにはそういったことに偏見を持って欲しくないから、早めにこういったとこに連れてきました、みたいな家族連れの方もいらっしゃいました。

タカノ:勉強になるのはもちろんですけど、入口が楽しいっていうのがいいですね。

Celeina:この東京レインボープライド、2023年の今回はどういった内容になってますか?

杉山:今回は、「変わるまで、続ける」をテーマに、4月22~23日に代々木公園で開催予定です。代々木公園の会場には、LGBTQの啓発活動をしている個人や団体、サポートをしてくださる企業など、200を超えるブースがあります。あとは、飲食店のブースが出てきたりと、本当にフェスティバルとして開催してます。ステージでは今回、美川憲一さんも応援に駆けつけてくださいますし、東京ゲゲゲイさんやミラクルひかるさんも……。

Celeina:出演されるAisho Nakajimaさん、私、お友達なんですよ。

杉山:そうなんですか! まだお会いしたことがないんで、今回、すごく楽しみなんですよね。

Celeina:最高なので、間違いないと思います。

杉山:楽しみです。パレード自体は23日にありますので、足を運んでいただければなと思います。同じ代々木公園のけやき並木からスタートするんですけど、いらしていただいたら、受付済ませていただいて。「フロート車」という先頭車が出るので、いろんなテーマが掲げられてる中から、自分のテーマに沿ったものを選んで、歩いていただければと思います。

パパ2人にママ1人の3人親スタイルでの子育て

タカノ:そして杉山さん、現在、子育てに奮闘中ということで。2020年には、そんな奮闘の姿をつづられた本も出版になって。

杉山:はい。『元女子高生、パパになる』。僕は、今は見た目はおっちゃんという感じかもしれないんですけど、元々、女子高生をやっていたということで。トランスジェンダーなんですけれども、ゲイの友人から精子提供を受ける形で。僕のパートナーが体外受精で妊娠、出産して、今、2歳と4歳です。

Celeina:かわいい~!

杉山:かわいいですけど、めっちゃカオスですね(笑)。

タカノ:カオス(笑)。やっぱり大変ですか。

杉山:世の中の人、どうやって仕事をしながら子育てしてるんだろうと思います。でも僕、これだけ外で平等とか言ってるのに、家庭内が平等でないと困るので(苦笑)。彼女に押し付ける訳にもいかないですし。子育ても一緒に楽しくやっております。

タカノ:子育てで面白いことはありましたか?

杉山:僕たちは、精子提供してもらったゴンちゃんっていうゲイの友人と、単なる提供に終わらず、一緒に親として関わっていこうということで。一緒に暮らしてるわけじゃないんですけれども、彼も定期的に会ったり、養育費も分担したり。だから、パパ2人にママ1人の3人親スタイルです。

Celeina:素敵。

杉山:親が3人いると、ジジババは6人いるんですよ。嬉しい悲鳴なんですけれども(笑)。

タカノ:大家族だ(笑)。こちら『元女子高生、パパになる』、文藝春秋から出版されているので、気になる方は、ぜひチェックしてください。

Celeina:はい。東京レインボープライドをはじめ、ご自身の活動を踏まえてLGBTQについて考えていらっしゃると思うんですけれども、今後どのような活動を予定されていますか。

杉山:一番を言うと、活動なんかしなくてもいい社会になったら良いな、ということですよね。例えば僕が「子供ができました」と言ったら、取材が殺到しちゃう。活動家になりたいと思ってというよりも、僕はこうですよって言ったら活動になっちゃったっていう感じなので、そういったことが無くても良いような社会にするためには、まだいろんな啓発活動をしていかなきゃいけないのかなと。

元々フェンシング女子の日本代表をやってたという経緯もあって、最近はスポーツと多様性についてだとか、いろんな角度で発信していけたらなというふうに思ってます。

タカノ:ありがとうございます。では、ここで1曲かけたいんですが、杉山さんに、この時間にラジオでみんなで一緒に聞きたい曲を選んでもらいました。どんな曲でしょうか?

杉山:今回の東京レインボープライドでステージに出演していただくryuchellさんの“NEVER SAY NEVER AGAIN”という曲です。

https://www.youtube.com/watch?v=XepW4qcitUY

行動に移せば、きっといろんな居場所が場所に出会える

タカノ:杉山さん、ryuchellさんとは元々が面識あったんですか?

杉山:いろんなイベントでもご一緒させていただいたり、プライベートでもご飯をご一緒させていただいたこともあります。ryuchellさん、自分らしくっていうのを本当に貫いて、最近、より自分らしく発信されていますね。

タカノ:勇気をもらえますね。4月になって、自分の居場所や、今いる場所に違和感を感じたり、自分らしさを探してるっていう方も多いと思うんですよ。そんなリスナーに向けて、杉山さん、何かメッセージがあったらぜひ。

杉山:お近くの方であれば、パレードに足を運んでいただきたいと思います。今、スマホ1台あればいろんな情報が入る時代ですけど、そういう時代だからこそ、自分の足でどこかに行ってみる、行動に移すことで、いろんな居場所があることを体感していただけるんじゃないかなと思ってます。

タカノ:なるほど。楽しいという風におっしゃったじゃないですか。それが入口になってるからこそ、参加もしやすいと思いますし、いろんな発見もあると思うし。楽しいっていう感想は純粋に運営側としても、嬉しいですよね。

杉山:そうですね。僕たち、キーワードが「らしく、たのしく、ほこらしく」なので、もっと、らしく、たのしく、ほこらしく、今年もいけたらと思います。

Celeina:はい。東京レインボープライド、今年も4月22日からの開催になります。さあ、「FIST BUMP」はグータッチでつなぐ友達の輪ということで、お友達をご紹介してもらっているのですが、杉山さんがご紹介してくださるのはどんな方でしょうか?

杉山:ダンサーの高村月さんという方です。僕も知り合ったのは最近なんですけど、イベントでご一緒したら、本当に素晴らしいパフォーマンスで一気にファンなっちゃって。是非、月さんに、出ていただけたらなと思います。

タカノ:高村さんを一言で表すと、どんな方でしょうか?

杉山:一言で表すと「一言で表せないようなパフォーマー」という感じかなと。

Celeina:楽しみですね。

タカノ:明日はダンサーの高村月さんにつなぎます。

Celeina:「FIST BUMP」今日は、NPO法人・東京レインボープライドの共同代表理事、杉山文野さんでした。

杉山:ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

RECOMMEND

NiEW’S PLAYLIST

編集部がオススメする音楽を随時更新中🆕

時代の機微に反応し、新しい選択肢を提示してくれるアーティストを紹介するプレイリスト「NiEW Best Music」。

有名無名やジャンル、国境を問わず、NiEW編集部がオススメする音楽を随時更新しています。

EVENTS