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シトナユイの音楽理論。逆張りの発想で音大を首席卒業した才能を取材

2024.3.14

シトナユイ『TINY LAND』

#PR #MUSIC

「メンタルの弱さからの逆張り(笑)」が培った、オルタナティブマインド

─そして今回、前作からおよそ1年ぶりの新作『TINY LAND』が完成しました。何かテーマやコンセプトはありましたか?

シトナ:これまではダーク寄りの曲調が多かったので、今回は明るい曲調に挑戦してみました。具体的には1980年代っぽいサウンド。トラック数を少なくしてビートを強調し、シンセを大々的に導入してみようと。その代わり、コード進行やメロディは今っぽくして、ボーカルにはオートチューンもかける。そうやって生まれたのが1曲目の“Coffee Time”でした。

─“Coffee Time”は、メロディに独特の浮遊感があります。こうしたフィーリングはどのように獲得したのでしょうか。

シトナ:イメージとしてはK-POPですね。キラキラとした可愛らしさの中に、儚さとアンニュイが混じり合った雰囲気をイメージしながら、シトナユイでは出せないフィーリングを加えていきました。アレンジに関しては、最初ボサノバやジャズの雰囲気にしようと思ったんですけど、1980年代っぽいアレンジにしたことでメロディの浮遊感がいい感じに際立ったと思っています。

─確かにこの曲、ボサノバっぽいアレンジでもハマりそうですね。1980年代っぽくする上でリファレンスにした作品はありましたか?

シトナ:Alextbhというマレーシア出身のアーティストが昨年リリースした楽曲“Heaven’s Gate”(『It’s All Good』収録)が、1980年代っぽいサウンドを今の感覚で再構築していて。これまでの私の作品は、「音数が多すぎてどこを聴いたらいいのかよくわからない」みたいな感想をもらうことが多かったので(笑)、まずは思いっきりシンプルにしてみました。

─ちなみに、K-POPで好きなアーティストというと?

シトナ:K-POPというより、どちらかといえばオルタナっぽいサウンドなのですが、FAVERという女性アーティストの歌声が自分にそっくりなんです。実はこういう、低めのハスキーボイスでアンニュイに歌うシンガーが、韓国には大勢いることを彼女の音楽を通して知りました。

シトナ:そこからどんどん深掘りしていくなか、ZICOという男性ソロアーティストにもハマりましたね。彼はもともとアイドルだったのですが、今はものすごく幅の広い楽曲を手掛けていて。「僕は天才って呼ばれるけど、めちゃくちゃ努力しているんだ」「そんな簡単にメロディが思いつくなんて思わないで」みたいな(笑)、クリエーター目線の歌詞にものすごく共感しました。

─言われてみれば、シトナさんの楽曲もクリエーター目線の歌詞が多いですよね。

シトナ:自分が思っていることを、まるで日記みたいに等身大で書くアーティストを目指してます。恋愛ソングは世の中に溢れているから、自分は別に歌う必要ないかなと思っていて(笑)。なるべくみんながやってないことをやりたい。それって勝負が苦手という意識も大きいんですけどね。一人になってしまえば、勝負しなくてもいいじゃないですか(笑)。

─強いオルタナティブ精神を感じますが、それはどのように培われたのだと思いますか?

シトナ:子どもの頃から臆病で、人と比べられるのがすごく苦手だったんです。でも、最初に話したように高校生の時に一人だけゴスペルを歌ってびっくりされ、「誰かに無理やり合わせなくても、自分が得意なことを貫けば褒められるやん!」と思えたことが根底にあるんです。大学に入ってからも、「みんなと同じことで1位を目指すのは絶対に無理だから」っていうメンタルの弱さからの逆張りが(笑)、おっしゃっていただいたようなオルタナティブな精神に繋がっているのかもしれないですね。

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