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STOP MAKING SENSE(意味づけをやめよ)
冒頭、デヴィッド・バーンが1人、カセットテープを持ち空のステージに登場。収録されたビートと共に”Psycho Killer”を弾き語る。曲の後半になると、黒子がステージの設営を始める。2曲目になると、ベースのティナ・ウェイマスが登場し”Heaven”を演奏。3曲目はドラムのクリス・フランツが加わり、”Thank You for Sending Me an Angel”が始まる。曲順を追って、徐々にメンバーやセットが登場する演出は、「コンサートがどのようにつくられるのかを見せることが目的だった」とバーンが語っている。
映画後半の”Once in a Lifetime”はトレーラーにもなっている名場面だ。バーニー・ウォーレル、アレックス・ウィアーらサポートメンバーを揃えた当時最高のファンクバンドと言ってよい演奏をバックに、眼鏡をかけたバーンが奇妙なダンスを披露する。映画を通してバーンやメンバーのパフォーマンスは素晴らしく、”Genius Of Love”ではメンバーがステージを駆け回り、”This Must Be The Place (Naive Melody)”ではバーンがスタンドライトと踊り出す。

映画も残り数曲を残したところで”Girlfriend Is Better”が披露される。バーンはかの有名なビックスーツに身を包み、映画タイトルになった歌詞を歌う。「Stop making sense, stop making sense(意味づけをやめよ、意味づけをやめよ)」
意味を手放して踊る。「インテリバンド」というある種の揶揄的な意味も内包する言葉で形容されていたバンドが、アスリートのごとく肉体を酷使していく。熱が意味を溶かしていく。
”Psycho Killer”から始まり、徐々にアンサンブルが構成されていき、アフロビートとパンクの出会いが果たされる。映画は、彼らがトップバンドに上り詰めた軌跡や、青春のプレゼンテーションのようにも捉えられる。彼らはこのときが絶頂期だった。


この映画の功績はライブをパフォーマンスアートにしたことだろう。以後、多くのミュージシャンたちは、音楽はもとより、気の利いた舞台演出を求められ、衣装や照明、振り付けに及ぶまでの総合演出をライブパフォーマンスに求めるようになった。彼らが切り開いた新しい境地が、マドンナやThe Weekndのような驚くべきパフォーマンスの源流となっていると言っても過言ではない。
映画『ストップ・メイキング・センス 4K レストア』

1983年12⽉ハリウッド・パンテージ・シアターでのトーキング・ヘッズ伝説のライブの様⼦を収めたライブ映画が、A24の手によってスクリーンに蘇る。
監督:ジョナサン・デミ
出演:デイヴィッド・バーン、クリス・フランツ、ティナ・ウェイマス、ジェリー・ハリスン 他
配給:ギャガ
© 1984 TALKING HEADS FILMS
2024年2⽉2⽇(⾦) TOHO シネマズ⽇⽐⾕ 他全国ロードショー
公式サイト:https://gaga.ne.jp/stopmakingsense/