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『くるりのえいが』にも刻まれた、伊豆スタジオというロケーションの必然性
ー「スタジオに入ってセッションで1からつくる」ということ以外に、今回の制作にあたって事前に決めていたことはありましたか?
岸田:基本的にはこの3人以外のプレイヤーの音は入れずに、この3人でやりましょうと。あとは3人のLINEグループみたいなもので、「こういう感じでやりましょうか」みたいなのがあったり、3人で会ったときに「こういう音楽みたいなのがいいよね」って話はしてましたけど……もともとこの3人でやってたときって、発想的にも姿勢的にも自由にやってたというか、良くも悪くも、何をやってもよかったと思うんです。
「バンドだからこうですよね」とか「ギタリストだからこうですよね」みたいなところを逸脱したことをたくさんやってきたので、あんまり最初に決め事みたいなものはつくらない方がいいなと思ってましたね。

ー音楽的には「1990年代のオルタナティブ」とか「1960年代のブリティッシュロック」みたいなキーワード的なものがいくつかあるぐらい?
岸田:そういう話もちょっとはしたけど、うだうだ言うよりも音を出した方が早いから、いいセッティングをつくって、いい音で録れる状態にして、スタジオ自体の鳴りとか、エンジニアさんのつくる音を生かしてやっていくだけというか。「この曲はこういう感じで」みたいな話をして挑んだ曲もあるにはあるけど、ほとんどそういう話はせず、ばっとつくったものもあります。
ー伊豆スタジオを選んだのは何か理由がありましたか?
佐藤:毎日それぞれの家から通うとか、ホテルから行くとか、そういう環境よりも合宿がよかったんです。もちろん撮影があるっていうのもちょっとはあったんですけど、同じもの食べて、お酒飲んで、みんなベロベロになってるんだけど、最終的に真面目な話になって終わるとか、もっくんと一緒にできるのであればそういう環境の方がいいのかなって。
ーヴィンテージの卓や機材があったり、いい部屋鳴りがあったり、今回自分たちがやろうとしていた音楽とも環境がフィットしていた?
岸田:結果それでいい感じになりました。最初はどっかの田舎の宿みたいなところを借りて、そこに機材を持ち込んでやろうみたいな話もしてたんですけど、移動の手間とかエンジニアのことを考えると、伊豆にしてよかったです。卓とかも含めて、わりと古典的なスタジオだから、最近国内ではあんまりない感じで、僕らがつくろうとした音楽とかやろうとしたことには合ってたかなって感じです。

森:僕も伊豆スタジオは何度か使ったことがあるんですけど、ご飯が美味しいとか、海が近いとか、やっぱり環境がとても良くて。町のスタジオだと場所によっては閉鎖的な環境だったりするんですけど、伊豆スタは窓も大きいし、リラックスできる環境なのは大きくて、伊豆の話が出ただけでテンション上がりましたね。
長いこと離れてるとお互いのことについて知ってることもあれば知らないこともいっぱいあるので、ちょっと間を詰めるというか、そのためにもスタジオが終わった後に飲んだりとか、些細なことですけど、実はそういう時間がすごく重要だったと思います。