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コロンビアでのフレンテ・クンビエロとの共演
後半では、2019年から各国を巡ったワールドツアーの記録が映し出される。なかでも、コロンビアで過ごした日々に重点が置かれている。コロンビアでのフレンテ・クンビエロとの邂逅は、この映画全体のハイライトでもあるだろう。

フレンテ・クンビエロは、コロンビアのボゴタを拠点にし、伝統音楽であるクンビアを現代に送り届けるバンドだ。2020年には、民謡クルセイダーズと共に録音したEP『民謡クンビエロ(フロム・トーキョー・トゥ・ボゴタ)』をリリースしたほか、今年8月末に渋谷WWWで共演したばかりだ。
その『民謡クンビエロ』を、コロンビアでレコーディングする場面は圧巻だ。お互いにアイデアを出し合いつつ、リハーサルする。そうして出来上がった音楽と演奏は、コロンビアの街並みを映した映像と共に響き渡る。アニメーションも交えた、たたみかけるような映像には圧倒される。
日本とコロンビアの伝統音楽を再生するバンド同士が出会い、共演作を作り上げる姿は奇跡的なように思えるが、それが突飛なものでないことは、フレンテのマリオ・ガレアーノのインタビューからも明らかだ。伝統的な音楽を新しく提示する民謡クルセイダーズのビジョンと活動が、日本のみならず世界各国のシーンとつながり得ることが、コロンビアでの記録によって示されている。
コロンビアでは、演奏する姿だけでなく、クンビアのレコードをかける小さなクラブを映しているのも印象深い。そこで踊る現地の人々と民謡クルセイダーズの面々のちょっとしたしぐさや表情からは、撮影者がミュージシャンたちと共に過ごした時間の厚みと共に、音楽自体への理解と愛情をも感じさせる。そうした姿勢は、同作の随所に見出すことができる。
もちろん主役は民謡クルセイダーズなのだが、民謡や伝統音楽の過去と現在、その広がりにも想像をめぐらせる映画だと言えるだろう。
「ブリング・ミンヨー・バック!」

プロデューサー・ディレクター・撮影・編集:森脇由二
出演:民謡クルセイダーズ、Frente Cumbiero、ピーター・バラカン、久保田麻琴、岸野雄一、大石始、元ちとせ、俚謡山脈、東京キューバンボーイズ、コデランニー
2022年/日本/90分/16:9/カラー/ステレオ
配給:ALFAZBET
公式HP:https://www.bringminyoback.com
9月15日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
【公開記念イベント開催】
9/16(土)18:30の回・上映後ミニライブ【ライブ&盆踊り】
ライブ:民謡クルセイダーズ(スペシャル・アンプラグドセット)with 盆オドラー
9/17(日)18:30の回・上映後トークショー
登壇者:田中克海(民謡クルセイダーズ)、大石始、森脇由二(同作監督)
9/25(月)18:30の回・上映後
登壇者:ピーター・バラカン、フレディ塚本(民謡クルセイダーズ)、田中克海(民謡クル
セイダーズ)、森脇由二(同作監督)