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宮藤官九郎×大友良英 『季節のない街』で描く「終わりのある非日常」

2023.8.14

#MOVIE

どう『どですかでん』から離れられるか。宮藤と大友の戦い

ー宮藤さんから音楽に対するイメージの発注は前もってあったんですか?

大友:最初に強く言われたのは「黒澤さんみたいな音楽じゃないこと」でした。

宮藤:どうしたって頭のなかで映画のテーマ曲が流れちゃうじゃないですか。音楽だけじゃなくて、作劇にしても画作りにしても、まずは元の映画から離れなきゃいけない。どうやって『どですかでん』から距離を置きましょうかって話を最初にしましたよね。

大友:宮藤さんは、ほんわかじゃなくて、土着的ながちゃがちゃした感じの音楽にしたいとも言ってました。かといって『あまちゃん』や『いだてん』からも離れないといけないねと。

宮藤:そのあとのやり取りも面白かったです。六ちゃんが走るシーンの曲、最初に演奏したのが新宿ピットインでの大友さんのライブだったんです。

大友:六ちゃんが走るシーンの曲だけ先に作って。ちょうどライブがあったんで、ビッグバンドのみんなにはこれが何の曲であるかも明かさずに演奏してもらいました。そこでレコーディングしたものを、宮藤さんから送っていただいた映像に合わせて。そこからさらに録音物を編集していきました。

宮藤:その時点で「まさしくイメージ通り!」の仕上がりでした。ロケハンや打ち合わせで、横浜さんや直樹さんとも音楽のイメージを共有しながら慎重に進めていましたけど、大友さんから届いた1曲目を聴いて「もうおまかせします」というモードに。撮影も本格的に始まっていたタイミングで、一番いいかたちで届けてもらって嬉しかったです。

ー映像と音楽で、セッションするようなプロセスで作られていったんですね。

宮藤:そうなんです。でもライブで演奏した曲が、あんなにうまく映像に合わせて決まるものなんですか? 不思議です。

大友:ライブでは10分ぐらい演奏したんですが、どんなシーンにも合うようにゆっくりしたテンポから速めのテンポまで、いろんなパターンを1曲のなかに入れてあるんです。だから映像に合うテンポの部分を取り出せる。

宮藤:なるほど!

大友:ライブでは六ちゃんみたいな気持ちで指揮してましたよ。

宮藤:余談なんですけど、六ちゃんのシーンのためにめちゃくちゃいろんな踏切をロケハンしたんです。それで最終的にあの踏切を選んだんですけど、決定打になったのが、その場にたまたまいた鉄道好きの男の子。

お母さんと一緒に見に来ていて、スマホで運行ダイヤを確認しながら、「次はこっちから電車が来るよ」「その次はこっちだよ」ってずっとやっていたんです。映像では使ってないんですけど、踏切の上にも高架があって、そこも別の電車が走っている。電車好きにはたまらない場所なんですよ。実際に電車好きから愛されている場所なら、もうこの場所で撮るしかないなと思いました。

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