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コロナ禍のBiSH。一度立ち止まりつつ、ライブ以外の方法でファンに届ける方法を模索(2020年)

―コロナ禍以降、ライブができなくなってからのBiSHはどう見ていましたか?
飯田:もう一つの転換期だと思います。ライブができなくて、清掃員(BiSHのファン)にも会えなくて。そういう中で「清掃員一人ひとりに届けていくんだ」っていうエモーショナルになった気持ちを、そのままやっちゃうという。
メンバーはシンプルな気持ちを清掃員に届けるんだ、清掃員も気持ちをBiSHに届けるんだみたいな、その構造をわかりやすく『LETTERS』というアルバムで提示した。これがなかったら、東京ドームではできなかったんじゃないかとも思います。コロナを一番味方につけたグループの一つだと思ってますね。
西澤:メンバーも一回立ち止まって考える時期になったんだろうなと思います。モモコさんの2冊目のエッセイ(『きみが夢にでてきたよ』)のクラウドファンディングをうちの会社でやらせてもらったんですけど、モモコさんもファンの人たちとちゃんとコミュニケーションを取りたいということで、毎週エッセイを書いてクラウドファンディングの支援者に送りたいって言って。モモコさんの意見でそういうコミュニケーションが始まった。
送られてきたお返事や感想は何百通もあるけど全部モモコさんも読んでいたし、ライブ以外の方法でどうやったら気持ちを伝えられるのかめちゃめちゃ考えた時期だったと思うんです。それは彼女たちのためになったのだと思います。
―『LETTERS』の時はCINRAでインタビューをしたんですが、インタビュー自体がすごくエモーショナルなんですよね。自分がいかに音楽に救われたかみたいなことを、みんな語っていた。
いわゆるアイドルグループのインタビューって、基本的には状況について話してもらうものがほとんどで、クリエーションについて話してもらうことはないじゃないですか。だけど『LETTERS』に関してはほぼ全員作詞しているので、曲に込めた思いを聞く。非常にエモーショナルだった記憶がありますね(参照:BiSHから届いた胸が詰まるような手紙。全員で語る空白の数か月間)。

飯田:コロナ禍に入った時のインタビューで、アユニとアイナだけ、コロナになってよかったですって言ったんですよね。もちろんよくはないんだけど、もうこのままいったら死んでたと思いますって。別々だったのに、二人とも同じことを言っていて。
それくらい忙しすぎて、わけわからなくなっていた。それを一回整理できたっていうのも、特に忙しかったアイナとアユニにとってはよかったのかもしれない。あのまま続けてたら、特にアイナとかは「もう無理です」となっていたかもしれないですしね。
人気絶頂のなか、解散を発表(2021年)

―解散発表が2021年12月24日でした。内部的にはもうその前から決まっていたわけですが、このあたりはお二人はどんな風に見ていましたか?
飯田:この2年くらい前には決まってたんですよね。
西澤:コロナ前って言ってましたね。
飯田:メンバーは相当複雑な状況だったと思います。解散発表できてすっきりしたメンバーもいれば、チッチはずっと反対だと言い続けていたりもして。
解散発表した後にやったことがすごかったなと思うんですよ。12か月連続でリリースしたり、全国を回ったり「こんなにやる!?」と思うほど。だから本当によくやりきったと思うし、本当にお疲れさまと思ってます。みんなすごく頑張っていました。
西澤:僕は解散すること自体に驚きはなかったんですけど、ただこの絶頂期のタイミングで解散を発表したなっていう驚きはありました。頭ではわかっていても、ここまで大きいグループになったら、その美学を貫き通して解散って打ち出せないんじゃないかって思いもあったんですけど。「やっぱりやってくれた」という気持ちがありました。