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乱暴な思い込みですけど、音楽を諦めたやつは、きっとその後も何かを諦めるんちゃうかな。(五味)
tami:最初に、「30歳前後でみんな音楽をやめていく」と言ったんですけど、音楽をやめるってどういうことなのかなと考えたりもしていて。
例えば正社員として会社勤めを始めることになったとしても、音楽と仕事のどちらかを選ばないといけないってことはないと思う。「音楽をやめる」って、メジャーデビューするのを諦めるとか、そういう意味なのかなぁ。売れることにこだわらなければ、いつまでもやろうと思う限りはやれるだろうと思うし、いつかやめなきゃいけないってみんなが思ってしまっているのは、ちょっと嫌やなと思ってて。
五味:これは僕の乱暴な思い込みですけど、音楽を諦めたやつは、きっとその後も会社で仕事とかしてても、何かを諦めるんちゃうかなと思うんですよ。まぁ、自分がずっと意地でバンドを続けてるから、他の人に対しても「やめんなよ!」って思っちゃうっていうのもあるけど。
tami:あぁ、たしかに、音楽をやめることで「何か」から逃れられると思ったら間違いやで、みたいなのはちょっとわかりますね。音楽やめて会社で働いてても、その「何か」はずっとついて回るよっていう。リセットできるわけじゃない。
五味:だから、音楽やめたやつは、きっと他の何かもやめるんですよ。……でも、今ふと思い出しましたけど、ZOZOTOWNを作った前澤友作さん、あの人もともとバンドやってて、やめてからも成功してますね。まぁ、うん、いろんな人がいますよね(笑)。
tami:そうですね(笑)。いろんなパターンがある。

五味:さっき「どんな形でもやろうと思えばやれる」っておっしゃってましたけど、ほんとそうだと思うんですよね。だから、連載初回からこんなこと言っちゃ元も子もないんだけど、「音楽だけを仕事にしている人」と「音楽とその他の仕事もやっている人」で括って話をするっていうのは、もう今の時代、ナンセンスなんじゃないかと思う。その2つだけじゃないよなって。グラデーションで、間にいろんな人がいる。いやほんと、初回からこんな話してすいません。
tami:いやいや、むしろありがたいです。たしかにそうですよね。間を見た方がみんなもっとやりやすくなる。
五味:そう、間をあんまり見てないから、諦めなきゃいけないみたいなことも出てくるんですよ。やりたかったら、どんな形でも、細々とでも、やればいい。
tami:なんか、音楽でお金を得ている人っていうのが、世間からすごく特別に見られているっていうのは感じます。夢とか目的意識がすごく強い人だけができること、みたいな。
五味:みんな何かしらでお金を稼いで生活しているわけで、その中に音楽で稼いでいる人もいれば、その他で稼いでいる人もいれば、両方やっている人もいる。それだけのことで、何かでお金を稼いでるっていう意味ではみんな一緒。音楽で稼いでるから楽しいことばっかりってことはあり得ないし、やっぱり仕事だからつらいこともあるし。
