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Stronger Than Pride

加藤修平の「Stronger Than Pride」とは。ライター山塚リキマルと振り返る

2025.4.11

#MUSIC

自分が健康的に続けていくためにはどうしたらいいのか、ってことに気持ちが向いてる。

山塚:加藤くんは去年30歳になったんだよね?

加藤:そうです。

山塚:30代の抱負、って言ったらアレだけどさ、「この歳までにこうなりたい」みたいなイメージとかってあったりするの?

加藤:う~ん……去年、『FAHDAY』(※)をやったじゃないですか。25歳ぐらいの頃に、「30までに苫小牧の人たちと大きな何かをやりたい」って思ってたんで、     それは出来たなって感じですね。20代前半のときは、バンドでガンガンやってる先輩たちの背中がすごく遠くって、「アレには勝てないな」って気持ちがあったんですけど、この歳になると辞めてったヤツの背中のほうが近いじゃないですか。先輩でも30過ぎて音楽から離れちゃったり。そういうものの近さのほうが怖い。もちろんそんな気はないけれど、そうなる可能性は絶対あるじゃないですか。音楽を続けたかったけど辞めざるを得ないような状況はきっとあって。いまは自分が健康的に続けていくためにはどうしたらいいのか、ってことに気持ちが向いてますね。

※加藤修平が発案者となり2024年10月に地元北海道苫小牧で開催された表現の交換市(オフィシャルサイト

山塚:なるほど。続けるって大変なことだけど、20代と30代ではその大変さの質はかなり違うよね。

加藤:12月の頭に、札幌のPrecious HallでPROVOの周年パーティーがあったときに、     夏目さん(Summer Eye)が来てたんですよ。で、夏目さんと飲んでたら今みたいな話になって、自分が音楽できなくなったとき、それによって凹むヤツの顔がだんだん見えてくるよねって。仮に、NOT WONKってバンドが解散したり、オレが音楽活動をやめたとしたら、それは目も当てられないぐらい最悪な結果だと思うんですよ。すべての可能性を潰しちゃう感じというか。だから辞められないっすよね、って夏目さんに話したら「シャムキャッツが解散したとき、オレも全く同じ気持ちだった」って言ってたんですよ。

山塚:続けるって、いろんな方向で努力が必要だよね。オレの周りのバンドマンも、20代後半からみんな急に健康に気使い出したもん。それまで毎晩大酒飲んでベロベロになって路上で寝てたのに、急にストレッチとかやり始めて。やっぱ身体が資本なんだなって思う。

加藤:マジでそう思いますよ。追いつかなくなるだろうなっていう。

山塚:それの究極がミック・ジャガーとかなんだろうな。

加藤:こないだ、エレカシ宮本浩次の新曲が出たんですよ。それがめっちゃヤバくて、2ビートなんです。2ビートっていうかDビート(※)みたいな。しかもあんまり上手くいってる感じがないんですよ。マジでこれをやりたかったんだな、って感じしかなくて。

※DISCHARGEを源流とするハードコアパンクのリズムフィギュア

山塚:これヤバいね。ロボットアニメのOP系の込み上げ感が満載。

加藤:その感じかも。続けられている人は、単純にやりたいことがずっとあるんだなって思いました。

山塚:こないだネットニュースで見たんだけど、プリンスの未発表曲って8000曲ぐらいあるらしい。西暦3000年まで毎年アルバムを出せる計算なんだって(笑)。

加藤:曲をたくさん書けるってすごいなって思うんですよね。たまに聞くじゃないですか、今回のアルバムは200曲書いた中から選んで制作した、みたいな。僕はそのやり方が全くわからないというか、「作ってるときにわかんねーのかな?」って気がするんですよ(笑)。

山塚:もうちょっと照準合わせろと(笑)。

加藤:そうそうそう(笑)。作るだけだったら出来るんですけどね。一部分を変えれば違う曲って言い切れちゃうし。こないだの(香田)悠真くんとの対談のときにも話しましたけど、やっぱアーカイブ欲があるんですよ。作っている瞬間からそこが満たされてないと。

記事:香田悠真と加藤修平 とめどないおしゃべりの中で発光する、二人の美意識と哲学
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