NOT WONK / SADFRANKの加藤修平が「自分自身」を探る連載「Stronger Than Pride」。SADEは愛と解いたこのお題、果たして加藤は何を見つけるのだろうか。最終回となる今回は加藤と、これまで取材 / 執筆を担当したライターの山塚リキマルのふたりで、これまでの内容を振り返りつつ、2時間たっぷり語り合った。
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自分で言うのもなんですけど、気はいい方だと思いますよ(笑)。
山塚:いやいや、全4回、あっという間でしたな。第1~3回はほぼノープランで、自然発生的なセッションを捉えるつもりでやっていたんだけど、最終回はこれまでを振り返りつつ、加藤くんのパーソナリティを考察する回にしようかと。
加藤:よろしくお願いします。

SF(ソウルフル)作家/テンション評論家/プロ遊び人。‘22年と’23年にリリースした自主制作誌『T.M.I』が歴史的小ヒットを記録。ヤングラヴというR&Bバンドで語りを担当するほか、ネオ紙芝居ユニット・ペガサス団でも活躍中。
山塚:この連載の目標って、加藤くん自身が知らない自分を発見するっていうのと、それからともするとシリアスに見られがちな加藤くんの、気のいいロック兄ちゃん的な側面も発信していきたいみたいな感じだったよね。
加藤:自分で言うのもなんですけど、気はいい方だと思いますよ(笑)。常に眉間に皺が寄ってるワケでもなくって。思った以上に構えられちゃったりするときがあって、それはオレ的にもそんなに嬉しいことではないので。
山塚:連載前のイメージでいうと、加藤くんってこっちの背筋が伸びるような人だなって思ってたんだよね。不良の先輩的な感じというか。加藤くんってビビってないし、舐めんなマインドが根底にある気がするから。
加藤:舐められちゃマズいな、っていうのはあるんですけど、舐められたくない感じが出てる人って舐めたくなるじゃないですか(笑)。リラックスしてない奴って分かるし、その感じも嫌だなって思ってて。
山塚:で、連載通して改めて感じたんだけど、加藤くんって気さくだよね。加藤くんはどのジャンルの人が来ても乗りこなせる人なんだ、っていう発見があったな。加藤くんって受け身が上手いんだなって。
加藤:「結局オレはどういう人間だったんだろうな」って考えてたんですよ。それでオレ、人の話を聞くの好きだから、話し上手っていうよりは聞き上手かもって結論づけたんです。基本受け身なのかもしれない。
山塚:あらゆるジャンルの人に対して、フェアだしフラットだなって思う。さっき出た話だけど、加藤くんはデフォルトでリラックスしてるというか、結構何が起きてもうろたえないよね。
加藤:会話のスピード速い人っていっぱいいるじゃないですか。自分の言いたいことを即座にまとめられる、インプロ上手な人。昔はそういう速さこそが至高っていうか、自分のアイディアをいっぱい的確に発せられることがカッコいいと思ってたんですけど、速さって実はそんな大事じゃないのかもな、って。そこに終始するコミュニケーションに興味なくなっちゃって。

NOT WONK/SADFRANK。1994年苫小牧市生まれ、苫小牧市在住の音楽家。2010年、高校在学中にロックバンドNOT WONKを結成。2015年より計4枚のアルバムをKiliKiliVilla、エイベックス・エンターテインメントからリリース。またソロプロジェクトSADFRANKとしても2022年にアルバムをリリース。多くの作品で自らアートディレクションを担当している。
山塚:ふ~む。加藤くんって野球やってたじゃん、その中でのポジションってどんなだった? クラブチームでの立ち位置というかキャラってそれぞれあるじゃん。
加藤:前に出てウケを取りに行ったりするような人間ではなかったかなぁ……そのクラブの友達とは、言葉遊びとかで遊んでた記憶がありますね(笑)。
山塚:てぶくろ反対から読んで、みたいなそういうヤツ? ピザって10回言って、とか。
加藤:もうちょっと高度な遊びをしてたような気がするんですけど(笑)。すぐチンチン出したりするようなタイプではなかったですね(笑)。
山塚:チンチンね(笑)。この取材前に友達と話してたんだけど、札幌のオレら界隈と比べると加藤くんってやっぱ圧倒的に汚くないよねって話してた(笑)。
加藤:汚くないって衛生的な意味でですか?(笑)
山塚:いやもう、あらゆる意味で。笑いの取り方のダーティーさとか(笑)。加藤くんってやっぱ品あるなって思うね。食べ方とか綺麗だし。
加藤:(笑)。魚とか食うの上手いっすね、オレ。
山塚:昔、人づてに聞いたんだけど、加藤くんと元熙(※)が飯食ったとき、元熙の食い方があまりに汚すぎて加藤くんが指導したみたいな話、笑ったな。
※津坂元熙:札幌のポストハードコアバンド、CARTHIEFSCHOOLのベーシスト
加藤:ススキノの吉牛行ったときかな? 米粒いっぱい顔に付けながら食べてる元熙見て、「いやさすがに!」と思って(笑)。ハシをこう持って、丼を持ったら食べやすいよとか言って(笑)。
山塚:親にマナーとか結構しつけられた?
加藤:そんな厳格な家庭ではないですからね、ウチも。男4人兄弟で、母ちゃんが一番強くて、食卓が山賊みたいになる家ではあったっすけど。

山塚:おかず取り合う的な?
加藤:いや、うちの母ちゃんは「足りない」って状況を絶対作らない性分で、米一升炊くみたいな家だったんですよ(笑)。
山塚:4人兄弟って普通にケンカとか多そうだけど。
加藤:しなかったっすねえ、今でも仲いいし。一番上の兄貴が5個上なんですけど、身体もデカいし空手もやってたから圧倒的に強者で、そこで統制取れてましたね。ケンカにもならない。支配っていうか(笑)。