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オカヤイヅミの「うちで飲みませんか?」

鶴谷香央理と語る「そんなに面白くない漫画でいい」

2025.1.30

#BOOK

齢をとって楽になったことと、がっかりしたこと

オカヤ:どうでもいい話ができる相手がほしくて結婚する人も多いよね。

鶴谷:やっぱりみんな棚の話がしたいんだよ(笑)。私、もし自分が結婚したいと思うことがあるとすれば、そこがほぼ全部だと思うよ。「めくるめく〜」みたいなのはなくていい。

オカヤ:そうだよね。でも、恋愛が絡むと、そこがなかなか難しくなるからね。例えば「自炊してますか?」という会話が、この人は料理をしてくれる人かを値踏みされている、みたいになっちゃうと、楽しくないじゃん。こっちは「ごはんつくるの楽しいよね」という話をしてるだけなのに。

鶴谷:わかる。あなたと「棚、便利ですよね」の話がしたい、とこっちは思ってても、向こうはもっと恋愛的なことを思ってるかもしれない。もちろんそれを否定する権利もないし。だから、今から恋愛するとしたら、そういう手続きや「恋愛市場」みたいなところから下りた人同士でしてみたいな。

オカヤ:そのあたり、齢をとって楽になったなと思うことが多いよ。若い女でいることがつらかったんだと思う。

鶴谷:若い女扱いされるのが嫌だったってこと?

オカヤ:自分では「若い女」をやってるつもりはなかったのに、その役割を背負わされていたことに、中年に近づいてから気づいたんだよね。タクシーの運転手のおじさんから説教されたりとか、おじさんの上司にやたら飲みに連れて行かれたりとか。そのときはそう思ってなかったけど、世の中の方がちょっとずつ変わってきたこともあって、「ああ、あれは私が若い女だったからなんだ」「なめられてたんだ」って。

鶴谷:私、今でもめちゃめちゃなめられるから、よくわかるよ。私は中年になったことにわりとがっかりしてたんだけど、それは、私は物事に馴れるのに時間がかかるからでさ。「20歳の子ができるぐらいのことしかできないのに、もう40歳なんだ」みたいながっかり。200歳くらいまで生きてたらちょうどいいのに、って。

オカヤ:なるほど。

鶴谷:もう自分がゆっくりなことはわかってるし、受け入れてるから、ショックとかではないんだけどね。「漫画家である自分」にもまだぜんぜん慣れてないよ。

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