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日本の街のきれいさと、「慮り」の強さ
小林:自分が真面目すぎたのかな、もっとおおらかに生きたいな、と思うよね。こないだ海外の友だちとしゃべってたら、以前はみんな道のどこでも赤信号でも横断してたのが、罰金制になったら止まるようになったって言ってて、なるほどなと思った。それもそうだなと思って。
オカヤ:日本人は真面目すぎるのかもね。
小林:そうそう。交通ルールはともかく、考えたら、しなくてもいい自粛をしていることって、わりとあるよね。

オカヤ:人との距離感とか不文律が、いつもいる場所とは違う、って思えたのはとても良かった。最近、漠然とした「みんな」がすごく気を使ってるなという感じがしてたから。SNSの向こうに見える人たちがいろんなことに怒ってるから、怒られないようにしなきゃと思いすぎちゃうし。
小林:マナーとか常識って難しいよね。私は察せられないから、明示してもらわないとわからない。慮るのが得意な人はいいけど、私、何が失礼とかも、直接的に言ってもらわないと素でわからなくて。
オカヤ:私もそうだな。子どもの頃「マイペースだね」っていうのは褒め言葉だと思ってた。「急げ」って言ってくれればよかったのに。
小林:そう、私もいつも褒められてると思ってるもん。嫌味を言われてるのがわからなくて、「わあ、ありがとうございます!」って喜んでて、ずっと後から考えたら、もしかして……みたいな。
オカヤ:その方が幸せだと思うけど、京都には住めないね(笑)。
小林:そうだね。「お茶漬けいただいていいんですか? ありがとうございます!」って(笑)。でも本当に、旅に行くと自分のふだんの生活を見つめ直すよね。
オカヤ:帰国して街に出たとき「えっ、きれいすぎじゃない?」と思ったもんなー。慮るからこんなに清潔な国でいられてる面もあるけど、息苦しくなるまで整えるんなら、ここまできれいじゃなくていい気もしたよ。別に道がボコボコでも歩けたし、って。