漫画家オカヤイヅミさんが、ゲストを自宅に招いて飲み語らう連載「うちで飲みませんか?」。第5回は台湾出身の漫画家・高妍(ガオ イェン)さんにお越しいただきました。
働きづめで、人と食事をする時間が唯一リラックスできるという高さんに、オカヤさんの料理の腕が鳴ったサシ飲みの模様をお届けします(高さんはノンアルコール)。
当日振る舞われた「冷やし梅味噌豚うどん」のレシピもお見逃しなく!(レシピは記事の最後にあります)
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日本語にない、台湾語の言い回し
高:今日のことをとても楽しみにしてきました! よろしくお願いします。
オカヤ:ようこそ。最近は忙しいですか?
高:はい、連載の来月の分が62ページあって……。しかもちょうど今週引っ越しをして、まだ家が段ボールだらけなんです。
オカヤ:えー、それは大変。高さんは絵の密度がすごいから、私の62ページとぜんぜん労力が違いますしね。

漫画家、イラストレーター。1996年、台湾・台北生まれ。台湾を舞台に、はっぴいえんどや村上春樹など日本のカルチャーに魅せられる若者を描いた漫画『緑の歌 – 収集群風 -』が大きな話題となる。現在『月刊コミックビーム』にて『隙間』を連載中。
高:私の漫画はまず母語で描いてから翻訳してもらっているので、翻訳の時間や、チェックややりとりの時間もかかるんです。しかもいまネームのストックがなくて。ペン入れをしながらネームを描かないといけなくて、本当にやばいです。
オカヤ:もう自分でも訳せそうだけど。
高:いや、ぜんぜんまだできない。台湾の言葉を日本語にするのには、やっぱり不自然さが出てきます。最近面白いなと思ったのは、台湾でよく使う言葉が、そのまま日本語に翻訳できないことがあって。
オカヤ:それは何ていう言葉だったんですか?
高:「我想你」、英語で言うと「I miss you」ですね。日本語に翻訳すると「寂しくなる」とか「あなたに会いたくなる」になるけど、そのままの意味は「私はあなたのことを考えています」。会いたいとか寂しいというより、もうすこし曖昧な感じなんです。
オカヤ:なるほど。日本だとまず「I miss you」とか「会いたい」って、恥ずかしがってあんまり言わない人が多いかもですね。
高:台湾ではめっちゃよく使うんですよ。恋人だけじゃなくて、家族とかにも。お父さんからも「我想你」とLINEがきます。
オカヤ:家族に「I miss you」って言わないなあ……家にもよるかもしれないけど。
高:私の周りではお父さんが「我想你」を一番よく使う人かもしれないです。「今すぐ東京に泳いで行きたい」とか言ってきますよ(笑)。
オカヤ:お父さんかわいいな。
