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オカヤイヅミの「うちで飲みませんか?」

レシピと文学は相性が悪い? 滝口悠生と語る、創作と料理

2024.3.12

#BOOK

レシピ通りに料理を作れない

滝口:そう、今日は料理の話をしようと思っていたんです。オカヤさんは料理をするとき、どのくらい最終形のビジョンがあって作ってます?

オカヤ:作る前に、どういう味が食べたいかをしばらく考えますね。「酸っぱくて、ちょっと甘いくらいがいいな」みたいなことを。でも、作るときには、やりながら「これを入れたら美味しいかも」と進めることが多い気がします。

滝口:たとえばかた焼きそばに粒マスタードっていうのは、ちょっとひとひねりあるじゃないですか。あとから洋がらし添えたりはするけど。そういうアイディアって、事前にあるのか、それとも即興的に「これいってみよう」となるのか。

オカヤ:「あ、これじゃない?」みたいにひらめく時もあります。逆に、すごくしっかりレシピが決まっている料理は、めんどくさくてできないです。

滝口:ああ、僕もそうなんですよ。オカヤさんとはぜんぜん精度が違うんですけど、レシピ通りに料理ができないんです。強迫観念みたいなものがあって、なぜかどんどんレシピから逸れていくんです。

オカヤ:工夫を入れないと気がすまない?

滝口:そう。例えば「鶏肉200g」と書いてあるじゃないですか。でも、200gぴったりのパックが売ってない。それで、230gぐらいのパックを買ってきて、気にしなければいいんでしょうけど、30g多いということに過敏に反応してしまって、その誤差をどうにか調整しなければと思ってしまうんですよね。

オカヤ:その分醤油はどれだけ増やせばいいんだろう、って。

滝口:それで、なぜか書いてないものを入れたりしちゃうんですよ(笑)。

オカヤ:違うんだから、何か補わなければ、と。

滝口:「何かしなければ」とやっていくうちに、どんどんおかしくなっていくんです。「これも入れてみよう」となったり、「玉ねぎは1個って書いてあるけど半分でいいや」とか。自分でも不思議なんですけど、暴走してしまうんですよね。

オカヤ:お菓子とかは、それをやると大変なことになりますよね……。

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