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NEWS EVENT SPECIAL SERIES
オカヤイヅミの「うちで飲みませんか?」

西加奈子と語る、中年の正しい振る舞い方

2023.12.5

#BOOK

「おじさん仕草をしてしまっている!」

オカヤ:同世代でずっと会社で働いてる人たちは、偉くなってきて部下がいたりするじゃん。そういう女友達に聞くと、女の上司のロールモデルがいなかったから、自分が上司として振る舞おうとしたときに、「おじさん仕草をしてしまっている!」と気づいて愕然とすることがあるって。

西:自分だって、もし男性で、この年齢でこの立場だったら、何かやらかしてたやろなと思う。今も若い男性と二人で飲みに行くときとかは、セクハラ・パワハラにならないように注意してるけど、それでも自信ないよ。

オカヤ:別の友達で、彼女の方が稼いでいて、夫の方が主に子育てをしている、という人がいてさ。彼女も、家に帰って「なんで片付けてないの? 家にいるならできるでしょ」みたいなことを言ってしまったりして、「私、悪いおっさんじゃん!」と思うことがあるって。

西:わかる。ナオミ・オルダーマンという人の『パワー』という小説があって、Amazonプライム・ビデオでドラマにもなってるんやけど、女性が身体に放電する能力を持って、男性よりも物理的に力を持った未来の話なのね。その物語の中では、結局男性と同じことをしてしまう女性が登場する。ナオミさんは、「女性が政権を握ったら戦争が起こらない」とか、そんな風に過剰に女性を美しいものとして描くのに抵抗がある、というふうなことを仰ってた。性差ではなく、パワーをどう使うかが大切なんだって。

オカヤ:ああ……。

西:ところで、南伸坊(*)さんとときどきお会いするんやけど、すっごく面白くて、物腰が柔らかくて、優しくて、ぜんぜん偉そうじゃないの。今やったらそういう男性は普通かもしれないけど、あの世代の男性として生きてきて、どうやったら伸坊さんみたいになれたんやろう、と思う。

オカヤ:そうだよね。みんな武闘派っていうかさ。ゴールデン街で殴り合いの喧嘩が当たり前、みたいな。

西:そういう時代で、そういう教育やったわけやん。「男たるもの~」って。でもオカヤさんは、もしその時代の男性でも、喧嘩せんかったと思うで。そういうところは、うち、めっちゃオカヤさんを尊敬する。

オカヤ:ええ?

西:どこへ行ってもフラットというか。うちはぜったい空気読んで殴り合ってたと思う(笑)

*南伸坊……イラストレーター、エッセイスト。親交の深い赤瀬川原平、嵐山光三郎、糸井重里らと共に、昭和のサブカルチャーを牽引した。

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